2017 Fiscal Year Annual Research Report
Miniscule designing: innovation for microbial cultivation
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26709063
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
青井 議輝 広島大学, 先端物質科学研究科, 准教授 (40386636)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ナノファブリケーション / 分離培養 / ゲルマイクロドロップレット / エマルジョン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は革新的な培養手法を開発することである。具体的にはナノファブリケーション技術を活用して「環境中に設置するだけで自動的に微生物を分離培養可能」な微生物分離培養デバイスの開発、およびW/Oエマルジョンを活用し、極小容器中(油相中)で微生物を培養するという新しいコンセプトに基づいた分離培養方法の開発である。 ① 微生物を捕まえる罠:前年度において自動的に微生物を分離培養可能な新規手法を用いて環境中から数10株程度分離し16sRNA遺伝子配列を決定し、従来法と比較解析を行った。今年度は、取得する環境サンプルの種類と取得菌株の総数を拡大し、土壌サンプル、および下水処理場の活性汚泥をサンプルとしてそれぞれ100菌株ずつ新規培養手法および従来法で獲得して、16S rRNA 遺伝子配列を決定して比較解析を行った。結果、従来法と比較して新規手法で獲得される種類に大きな違いが両方のサンプルで確認された。しかし獲得された菌株の新規性については違いがほとんど見られなかった。 ② ピコリットル培養:前年度までの検討で、新規手法においてはコロニー形成率の著しい向上や、獲得される微生物が従来法のそれと大きく異なるという結果が得られている。今年度は、コロニー形成率の向上や、従来法では獲得困難な微生物の培養化を可能にしているメカニズムの解明を目的に検討を行った。結果、新規手法では増殖不能状態に陥っている微生物を活性化する働きがあること、さらに増殖不能状態の微生物が活性化して増殖を開始するためには、何らかのトリガーが必要であり、それは異種間・同種間の相互作用によって引き起こされることを示唆する結果を得ることができた。また、それらは新規手法だからこそ実現可能であり、初めて確認できる現象であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究全体の目標は、「微生物を捕まえる罠」、および「ピコリットル培養」という新しいコンセプトを創成することである。今年度は微生物を捕まえる罠については複数の環境サンプルについてその分離性能を従来法と比較解析し、さらにピコリットル培養については、メカニズムの解明につながる知見を得ることに成功するなどほぼ計画通り順調に進んでいるため上記の通りに評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の全体計画は以下の内容(項目)から構成されている。①微生物を捕まえる罠:1)デバイスおよび手法の確立、2)モデル微生物を用いた各種検討、3)環境微生物を用いた分離培養の実証および分離株の獲得、従来法との比較評価。②ピコリットル培養:1)手法の確立、2)モデル微生物を用いた各種検討および環境微生物を用いた基礎的検討。そのうちほぼ全項目についてすでに終了したが、研究データを論文化するのに必要な追加実験、データ解析、またピコリットル培養のメカニズム解明を目指した検討を行う。
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Causes of Carryover |
実験計画自体は順調に進んでいるが、ピコリットル培養の実験系において当初の計画を若干修正して行う必要が生じたため。また1)微生物の罠、2)ピコリットル培養の両方の実験系とも、論文作成を行うために必要な追加実験、データ解析・データ整理に時間がかかることが判明したため、次年度使用額が生じた。
使用計画:次年度使用額は、上記の実験を行うための実験消耗品やデータ解析(外注)、研究打ち合わせのための旅費に使用する。
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