2015 Fiscal Year Annual Research Report
半導体レーザーを用いた革新的な高エンタルピー風洞の実現可能性の検証
Project/Area Number |
26709065
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
松井 信 静岡大学, 工学部, 准教授 (90547100)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | レーザー維持プラズマ / プラズマ診断 / レーザー分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はYAGレーザーによる種火プラズマを用いたレーザー維持プラズマの生成を試みた.まずYAGレーザーにより種火となるプラズマ生成を行った.プラズマ生成チャンバ内に1気圧から8気圧までのアルゴンを封入し,YAGレーザーを入射したところ強い発光が確認され,プラズマ生成に成功した.またデジタルカメラにより十分長い露光時間で撮影したところプラズマ生成位置は圧力とともに焦点から上流に移動し,8気圧では0.5mm上流でプラズマが生成されていることがわかった.またその大きさはレーザー方向が2mm程度,半径方向が1mm弱であることがわかった.このプラズマに対し,600Wの半導体レーザーを入射した.半導体レーザー光の集光径は1mm程度であり,種火プラズマと焦点を合わせるため,0.5mm精度の三軸トラバース装置を用いた.しかしながらレーザー維持プラズマを生成するには至らなかった.この原因としてアライメントの精度不足,もしくはそもそも生成条件(圧力,レーザー強度など)を満たしていないことが考えられ次年度の課題となる. 一方,プラズマ温度を測定する手法として変調法を利用した高感度レーザー診断法を開発した.変調幅と二次高調波信号のピーク値との関係を示す特性曲線は吸収プロファイルに依存しているため,これを利用することで吸収プロファルを再構築し,ドップラー幅から温度を推定することが可能となる.本手法の成立性を検証するため,マイクロ波放電管を用いて本手法が妥当であるかを検証した.作動ガスとしてアルゴンを用い,背圧を10Paから1000Paまで変化させた.まず従来のレーザー吸収分光法により温度を測定し,次に本手法による温度を測定し比較した結果.温度は400Kから圧力の増加とともに1200Kまで上昇することがわかり両者の結果は良く一致した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は半導体レーザーの故障によりレーザー維持プラズマ生成の実験が3ヶ月ほどできなかったこともあり,未だプラズマの生成には至っておらずこの点では当初の計画より遅れている.一方でその間プラズマ計測法の開発に注力したことにより高感度温度測定法の開発に成功した.前年度の成果と合わせてプラズマの数密度測定,温度測定が可能となり計測側の開発はほぼ完了した.この結果は第47回流体力学講演会で報告され最優秀賞及び学生優秀賞を受賞しており期待以上の成果を得ることができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度はアライメントの高精度化,チャンバ圧力の高圧化の2つの方法でレーザー維持プラズマの生成を試みる.アライメントの高精度化はYAGレーザー光と半導体レーザー光を同軸で入射することで対応する.これにより3次元から1次元(レーザー入射方向)までアライメントの次元を落とすことができる.このため,半導体レーザー光(940nm)の透過率が97%でYAGレーザー(532nm)の反射率が50%の特注ミラーを購入する予定である.チャンバの高圧化には昨年高圧ガス資格取得したことにより10気圧以上での実験が可能となったため次年度は最大30気圧の高圧チャンバを作成する予定である.以上の方法によりレーザー維持プラズマの生成を試みるがそれでも生成できなかった場合は電離電圧が低くよりプラズマ生成が容易であると考えられるキセノンを用いることも検討する.
|
Research Products
(12 results)