2014 Fiscal Year Annual Research Report
非Newton液滴高速衝突現象の詳細観測による噴霧塗装における理想的粒子径の考究
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26709067
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Research Institution | National Maritime Research Institute |
Principal Investigator |
藤本 修平 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (80586686)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 液滴 / 衝突 / 非Newton流体 / 混相流 / 塗装 / 塗料 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度には,「模擬塗料の作成」,「実験装置の構築」および「固体壁面への液滴衝突実験」を実施した. 「模擬塗料の作成」では,液滴衝突実験用の試験液体を検討した.実際の塗料はシンナーを含む(→有機溶剤取扱いに注意が要る),時間経過により硬化する(→何度も繰り返しての実験に不利である),あるいは不透明色である(→可視化実験に適さない)等の問題点があるため,実験に使用しやすい液体を検討した.結果,文献調査等からキサンタンガム水溶液が試験液体に適していることを見出した.特に,質量パーセント濃度1.0%程度のキサンタンガム水溶液が,実際の船底防汚塗料と同程度の粘度およびShear-thinning特性(液体にせん断力がかかると粘度が低下する性質)をもつことを特定した.キサンタンガムとしては,三晶(株)製の「Kelzan ST」を用いた. 「実験装置の構築」では,液滴衝突実験用の装置系を構築した.Kelzan ST水溶液を武蔵エンジニアリング(株)製のディスペンサ「Aero Jet」から液滴として噴射する装置である. 「固体壁面への液滴衝突実験」では,構築した実験装置系を用いて固体壁面上への液滴衝突実験に着手した.液滴のサイズや速度を種々に変化させて,固体壁面への衝突の様子を高速度撮影等により観測する. 上記の内容に加えて,液体微粒化に関する国際会議でのポスター発表および流体工学に関する国内学会での口頭発表を行い,研究成果の公表ならびに情報収集を実施して研究の高度化に努めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に遅滞はなく,おおむね当初の予定通りに進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
出来るだけ早い段階に学会発表等による成果の公表を行い,他研究者等との議論を通じて研究を充実させていく.
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Causes of Carryover |
当初は試験液体として実際の船舶塗料から固化成分のみを除いた液剤の使用を予定していたが,より円滑な実験遂行のため,キサンタンガム水溶液を使用することとした.それに伴い,船舶塗料等の購入の必要がなくなり試験液体作成用の費用が節約できたため.また,入札等により当初予定額を下回った価格での物品購入ができたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
液滴を衝突させる固体壁面については平滑な面のみを想定していたが,次年度以降はこれに加えて表面粗さを何段階かに変えての壁面衝突実験を実施したいと考えている.実際の塗装現場では,塗料の密着性を向上させるためにショットブラスト処理等により塗装対象鋼材に表面粗さを与えている.この状況を模擬するため,表面粗さを変えた壁面衝突実験を行いたい.生じた次年度使用額は,主としてこの実験のための費用として使用したい.
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