2015 Fiscal Year Annual Research Report
非Newton液滴高速衝突現象の詳細観測による噴霧塗装における理想的粒子径の考究
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26709067
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Research Institution | National Maritime Research Institute |
Principal Investigator |
藤本 修平 国立研究開発法人 海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (80586686)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 液滴 / 衝突 / 非Newton流体 / 混相流 / 塗装 / 塗料 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度には,「固体壁面への液滴衝突実験」,「塗膜面形成のための装置改装」および「塗装面の粗度評価に向けた準備作業」を実施した. 「固体壁面への液滴衝突実験」では,平成27年度に引き続き,種々の濃度のキサンタンガム水溶液を用いた液滴の固体壁面への衝突実験を実施した.種々の大きさの液滴を,速度を変化させて固体面に衝突させた.衝突後の液滴の形状変化を,高速度カメラを用いて撮影し評価した.評価項目は,衝突後の液滴の拡がりDや液滴の中央部の高さH等である.衝突前の液滴直径をD0とすると,D/D0の値が大きいほど液滴は広い範囲に拡がったことになる.また,H/Dの値が小さいほど,液滴衝突後に形成される液膜は平滑である.これらの指標を用いて,種々のD0および速度の液滴の形状変化を解析した.噴霧塗装技術の観点から考えると,D/D0が大きいほど,また,H/Dが小さいほど平滑(凹凸が少ない)で良好な塗膜が形成される.実験から,質量濃度 2.0 wt%のキサンタンガム水溶液の液滴が,1.0 wt%の水溶液よりも平滑な塗膜が得られやすいことが判った.キサンタンガム水溶液のもつshear-thinningや弾性などの性質が,液滴衝突時の挙動に強く影響していることを示唆する結果を得た. 「塗膜面形成のための装置改装」では,平成26年度に導入したディスペンサをロボットアームに取り付け,2次元(XY)走査により液滴を所定の面積内にくまなく衝突させ,塗膜面を形成する装置を構築した. 「塗装面の粗度評価に向けた準備作業」では,表面粗度を定量的に計測できる表面粗さ計を導入し,塗膜面やショットブラスト面の粗度を評価するための準備作業を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は平成27年度内に実施予定であった項目「塗装面への液滴衝突現象の観測」は,観測の準備作業のみの実施であり,やや遅れている.それ以外の研究項目では特に遅滞はなく当初の予定通りに進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
研究のまとめに向けて,遅れを取り戻せるよう研究遂行を加速させる.また,学会発表等による成果の公表を行い,他研究者等との議論を通じて研究内容の充実を図る.
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Causes of Carryover |
表面粗度計のメーカーキャンペーンやその他の競争入札等により当初予定額を下回った価格での物品購入ができたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究当初は,液滴を衝突させる固体壁面については平滑な面のみを想定していたが,実際の塗装現場では,塗料の密着性を向上させるためにショットブラスト処理等により塗装対象鋼材に表面粗さを与えている.この状況を模擬するため,次年度に表面粗さを変えた壁面衝突実験を行う.生じた次年度使用額は,主としてこの実験のための費用として使用したい.
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