2014 Fiscal Year Annual Research Report
高速トムソン散乱計測による過渡的プラズマ物理現象の解明
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26709072
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
安原 亮 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (30394290)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高繰り返しレーザー / 熱光学効果 / バーストレーザー / トムソン散乱計測 / 過渡的プラズマ現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の装置では数10 ms間隔に限られていた測定時間スケールを100倍向上し、1ミリ秒以下を観測可能な高時間分解トムソン散乱計測装置の開発を目的とする。これにより、ミリ秒オーダーで過渡的に変化するプラズマの電子温度及び電子密度の空間分布変化の観測が可能となる。例えば水素ペレットのプラズマ中への溶発、プラズマ崩壊、プラズマ加熱時の変化といった、実験的には、これまで観ることができなかった時間領域のプラズマ物理現象を直接計測することができる。新たな時間領域を探索するツールを開発することで、プラズマ物理の新領域の開拓が期待できる。 本年度は、レーザー増幅器冷却過程の初期の温度分布が平坦な時間領域を利用するためにフラッシュランプ電源のバースト動作についての検討を行った。結果としてIGBT素子を用いた電源によって1ms以下動作のバースト動作によるフラッシュランプ励起が可能であることを検証した。また、バースト動作時にレーザー装置を構成する光学素子の熱光学効果の影響を調べるために、500W出力のファイバーレーザーを導入した。これにより、ファラデー素子等の光学素子の動作限界を調べる準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
バーストレーザー動作のための電源の検討は終了したが、装置の導入が年度内に間に合わなかった。H27年度には装置を納入し、速やかにバーストレーザーを構成して、レーザー動作を実証する予定である。 光学素子の熱光学効果に関する調査に関しては、研究計画を前倒しで行うことができた。 全体として、やや遅れているが順調に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度に検討を終えたレーザー増幅器励起用の電源をH27に導入し、レーザー増幅試験を行う。それに伴い、各レーザー特性の評価を行っていく予定である。具体的にはLHDのトムソン散乱装置へ開発したレーザーを導入し、LHD真空容器直前のレーザー強度分布、集光特性、安定性を評価する。LHDトムソン散乱装置のビームモニタとビーム制御用ミラーホルダーを改良して、パルス毎に独立した計測とレーザー制御を行う。 H28年度には、バーストレーザーを用いてLHDプラズマのトムソン散乱計測を行い、取得された電子温度・電子密度分布の健全性を評価する。レーザー出力が不安定で電子密度分布の絶対値評価が難しい場合は別に取得する較正済みレーザー出力モニタを用いて較正を行う。またレーザー装置には、戻り光による故障防止のためファラデーアイソレーターを設置する。 過渡的プラズマ現象である水素ペレットの溶発現象を、バーストレーザー装置、イベント同期及びマルチパスシステムを用いて、1ミリ秒以下の分解能で計測する。計測した結果についてLHDで行っている他の計測装置及び数値シミュレーション結果と比較する。
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Causes of Carryover |
光学部品の検討に時間がかかり、年度内に納入される見込みがなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
光学部品の購入費として使用する。
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