2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26709074
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
海野 泰裕 独立行政法人産業技術総合研究所, 分析計測標準研究部門, 主任研究員 (90462837)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 放射能測定 / 放射性ストロンチウム / 放射性セシウム / 純ベータ核種 / プラスチックシンチレーション検出器 / NaI(Tl)シンチレーション検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、オンサイトでの混在試料中の純ベータ核種の迅速な放射能測定装置の実現を目指している。現段階で、適用できる試料量が課題となっている。そこで、本研究では、数グラム以上の水溶液試料を測定できるβ線検出器と、それに対応したγ線検出器を開発する。平成26年度は、β線検出器を実験とシミュレーションにより検討し、スルーホール型NaI(Tl)シンチレーション検出器を用いたγ線検出器を実施した。 φ3インチx3インチのシンチレータ側面に直径20 mmの貫通孔を開けたスルーホール検出器での測定で、想定したとおりの計数効率と安定した測定が実現されたが、波高分解能の低下が確認された。その原因の一つが、発光箇所による集光効率の違いであると突き止めた。 β線検出にプラスチックシンチレーション検出器の適用を検討している。上記スルーホール検出器の貫通孔と一致したサイズの光電子増倍管(R9880U-210型)による測定では、高い計数効率が確認された。ただし、一度に滴下できる試料量は100 mg程度であることが分かった。また、波高線形性の乱れを確認した。これに対して、R11265U-200型では波高線形性が保たれ、かつ、1 g程度の試料滴下量を実現できる見込みを得た。また、光半導体素子での測定では、十分な計数効率が得られなかった。また、シンチレーションファイバー検出器の適用については、流路内へ直接設置することを検討しており、流路直径に対する感度の変化をシミュレーションで評価した。また、β線だけに感度を持つGM計数管を用いて、Y-90のβ線エネルギーが他よりも大きいことを利用した簡易迅速測定法を検討し、高い濃度の混在試料に適用できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していたベータ線検出器の検討を、実験とシミュレーションにより予定通り進めた。試料にRI標準溶液を使ってベータ線測定を実施し、重要パラメータである計数効率と波高情報を得ながら、滴下できる試料量を明らかにすることで、ベータ線検出器の検討を効率よく進めた。また、ガンマ線検出器は、スルーホール検出器の特性を調べ、計数効率と波高分解能を明らかにした。また、確認された波高分解能の劣化の改善を図るために、劣化の原因を探り、明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの検討からの具体的なベータ線検出器の決定に向けて、ガンマ線検出器と組み合わせた装置全体の構想を策定し、ガンマ線検出器を検討する。ガンマ線検出器の検討では、無機シンチレータの種類、形状、サイズ、蛍光受光器が選択項目となる。この検討においては、前年度のスルーホール検出器の結果を踏まえた集光構造に配慮する。また、測定の検出限界に大きく寄与する計数効率を事前評価するためにシミュレーションを実施する。また、ガンマ線検出器のサイズが装置全体の大きさに影響することに配慮する。以上の検討に基づき、ガンマ線検出器を試作に着手する。
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Causes of Carryover |
研究計画上、ガンマ線検出器の作製が平成27年度に持ち越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ガンマ線検出器の作製(2015年12月ごろ)、国際会議での発表(2015年6月)、国際誌への論文投稿(2015年7月)
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Research Products
(2 results)