2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26709074
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
海野 泰裕 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 分析計測標準研究部門, 主任研究員 (90462837)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 放射能測定 / 放射性ストロンチウム / 放射性セシウム / 純ベータ核種 / プラスチックシンチレータ / 無機シンチレータ / 半導体受光素子 / 光電子増倍管 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、オンサイトでの混在試料中の純ベータ核種の迅速な放射能測定装置の実現を目指している。本年度は、前年度のベータ線検出器の開発に続いて、ガンマ線検出器について検討した。 ガンマ線検出器については、本研究で重要な感度の点で無機シンチレータが最適である。さらに、波高分解能が高い方が、核種弁別能が高く、検出限界を低くすることができる点で有利である。前年度までに試作されていたスルーホール型NaI(Tl)シンチレーション検出器は波高分解能が662keV光電ピークにおいて17%であり、改善する余地がある。 そこで、本年度は、シンチレータと受光素子の素材の選択に立ち返った。オンサイトで測定を実施するためには遮蔽を含めて小型化する必要があり、装置全体のサイズを決定づける受光素子の選択は重要と考えた。そこで、近年開発が進んでいる半導体受光素子(浜松ホトニクス社製MPPC)とシンチレータを組み合わせた測定を実施した。シンチレータは、MPPCの感度波長と発光量の観点で、NaI(Tl)に加えて、CsI(Tl)、BGO、GAGGを選択した。従来の光電子増倍管との比較で、性能を評価した。 上記の検出器の評価に加えて、ベータ線検出器とガンマ線検出器の組合せ方法を決定する上で必要となるシミュレーション技術を開発し、国際学会で発表し、国際誌で論文を発表した。 また、上記の研究推進に加えて、本研究の測定法の派生として、α核種とβ核種の線源効率を測定する方法を考案し、国内特許を出願した。また、精度は追求せず、簡便で迅速な測定を実現する方法を考案し、国内紙で論文を発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していたガンマ線検出器の検討を進めた。オンサイト測定を念頭に置いて全体サイズの小型化を目指しつつ波高分解能と計数効率という基礎特性を評価する観点で、受光素子とシンチレータを選択し、評価を実施した。また、翌年度以降のベータ線検出器とガンマ線検出器の組合せの検討を進めるために必要なシミュレーション技術を開発した。成果の展開を図るため、線源効率を測定する方法を考案した。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画の通り、ベータ線検出器とガンマ線検出器の組合せを検討する。実用化を意識して、検出限界と測定不確かさを評価する。実際の装置に近い検出器の組合せを構成し、測定を実施する。
|
Causes of Carryover |
交付申請時に想定していたよりも装置の仕様決定に時間を要したため、装置の製作に関する予算を平成28年度に持ち越すこととした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
装置の作製(2016年10月頃)、国際会議で発表(2016年5月)
|
Research Products
(4 results)