2014 Fiscal Year Annual Research Report
ペロブスカイト・シリコンハイブリッド超高効率タンデム太陽電池の実現
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26709075
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮島 晋介 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (90422526)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 太陽電池 / ペロブスカイト |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、2元同時蒸着装置の設計・導入およびペロブスカイト太陽電池の作製技術の確立を行った。コンパクトな2元同時蒸着装置の導入を行い、ペロブスカイト膜の製膜および条件の最適化を行った。蒸着レートのリアルタイムモニタリングにより、2つの蒸着材料の蒸着レートを制御した結果、異相の少ないペロブスカイト膜の作製条件を見出した。また、作製条件によって、大気中での劣化具合が大きく異なることも明らかとなっており、劣化の少ない膜の作製条件探索を継続している。X線回折および分光エリプソメトリー測定の結果、最適化した条件では、高品質なペロブスカイト膜が作製できていると考えられる。 加えて、太陽電池の作製に必要なTiO2膜およびp型正孔伝導層(PEDOT:PSSおよびCuSCN)の作製技術の開発を行った。TiO2膜はゾルゲル法を用いて透明導電膜上に作製した。熱への耐性の高い透明導電膜基板を用いることにより、シート抵抗の低いTiO2/透明導電膜積層構造の作製に成功した。p型正孔伝導層については、スピンコート法およびドクターブレード法により、ガラス基板上での最適化を行い、デバイス応用に十分な導電率を得ることに成功した。 デバイスシミュレーションについは、シミュレーションのためのモデル作成を行った。作製した膜特性をフィードバックして、ペロブスカイト太陽電池のシミュレーションモデルを構築した。また、それを基に、ペロブスカイト・シリコンハイブリッドタンデム太陽電池のシミュレーションモデルを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載の初年度計画では、ペロブスカイト太陽電池作製環境の構築に重点を置いている。これまでに、ペロブスカイト膜作製用蒸着装置の設計および導入を完了し、高品質なペロブスカイト膜の作製が可能なことを確認済みである。また、太陽電池に用いる各層の材料の作製環境および太陽電池作製環境の構築を既に完了しており、ほぼ予定通りの進捗が得られている。 初年度は実験環境の構築を主に行ったため、まだ発表実績はないが、現在学会投稿等を予定している。 また、デバイスシミュレーションについても、ペロブスカイト・シリコンハイブリッドタンデム太陽電池のシミュレーションモデルをほぼ構築できており、2年目以降このモデルを用いた解析を進めていくことができる状況である。結晶Siとの接合部に使用するトンネル伝導層についても開発済みであり、今年度の目標はほぼ達成できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度はほぼ計画通りに進捗しているため、2年目の平成27年度も当初計画に基づき研究を進める。平成26年度に確立したペロブスカイト太陽電池作製技術をもとに、超高効率ペロブスカイト太陽電池を実現する。特に、透明導電膜およびp型正孔伝導層の導電率の改善により直列抵抗の低減を図り、変換効率の改善を目指す。また、作製したペロブスカイト太陽電池の電気的特性評価を詳細に行い、シミュレーションにフィードバックする。また、損失過程の解析を行い、一層の高効率化に向けた設計指針を得る。さらに、光学的シミュレーションを詳細に行い、タンデム太陽電池の最適な設計指針を得る。また、ボトムセルとなる結晶Si太陽電池についても検討を進める。具体的には、Si基板の裏面側に金属ナノ粒子と透明導電膜からなるプラズモニック光散乱層を配置した構造の実現のため、光学シミュレーション(FDTD法、RCWA法)により設計を行い、実験にフィードバックする。
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