2017 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding the mechanism of CSCs maintenance in tumor microenvironment
Project/Area Number |
26710005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大澤 毅 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任准教授 (50567592)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 低酸素 / 低栄養 / 低pH / がん微小環境 / がん幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌の増殖と転移には腫瘍微小環境が重要な役割を果たす。これまで申請者は低酸素下の栄養飢餓で残存する癌細胞が癌の悪性化、及び、治療抵抗性を促進することを見出し報告してきた。本研究はこの低酸素・低栄養によって誘導される癌の悪性化のメカニズムを癌幹細胞の詳細な解析から解明し、低酸素・低栄養に抵抗性な癌幹細胞を標的とした新しい癌の制御法の開発を目的とし、現存する化学療法や血管新生阻害療法との併用で相乗効果が期待できる新しい標的分子の探索と治療への応用のための基盤となる研究を目指す。 本年度の研究成果として、 (1)癌代謝物の網羅的解析(メタボローム解析)から低酸素・低栄養の癌細胞で鍵となる代謝経路を同定しているが、低酸素や低pHで鍵となる代謝経路とは異なることを見出した。また、癌の悪性化、及び、癌幹細胞維持に関与する可能性が示唆された新規の癌代謝物を複数同定したため、引き続き、これら癌代謝物が癌悪性化に関与するメカニズムを検討している。 また、(2)低酸素の結果起こると考えられている低pH腫瘍微小環境は癌の浸潤・転移など癌悪性化を促進することが知られているが、癌悪性化に寄与する転写因子や標的遺伝子群は未だ不明な点が多い、我々は新たに低pH微小環境を模倣する培養系を構築し、低pHに誘導される遺伝子群が癌の悪性化や予後不良に関与することを見出し論文報告し(Cell Reports, 2017)、新たに低pH異存的に蓄積する代謝物や鍵となる代謝経路を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況として、 (1)乳がん細胞株(MCF7)を用いた、低酸素・低栄養にで生存する癌細胞は癌幹細胞マーカー (CD44high CD24Low)を発現する細胞集団を増加し癌悪性化に寄与することを見出だした。この分画の細胞のシングル・セルRNA-Seqを行いがん幹細胞維持に必要なシグナル系を見出しつつある。また、(2)低酸素・低栄養の癌細胞集団において、従来考えられていた低酸素で亢進する解糖系とは異なる新たな代謝経路が鍵となることが示唆され、低酸素・低栄養で蓄積する新規癌代謝物(オンコメタボライト)候補代謝物を見い出してその詳細の解析を引き続き行っている。さらに、(2)低酸素の結果として考えたれていた低pHという癌微小環境が、低酸素とは異なる、転写制御・代謝機構を介して癌の悪性化や患者の予後不良に関与することを見出すことができていることなど、当初の研究計画よりもさらに発展した新しい知見を見出していることから、本研究は当初の予想以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、引き続き、(1)低酸素・低栄養で癌悪性化に寄与する癌幹細胞の解析、および(2)低酸素・低栄養の癌幹細胞におけるシグナル伝達、(3)低酸素・低栄養の癌幹細胞における転写制御・代謝機構の解析を行う。 さらに、上記計画で同定した癌幹細胞の維持や癌悪性化に関与する因子を阻害し、現存する抗癌剤や血管新生阻害剤と相乗効果があるか腫瘍移植実験で検討する。がん幹細胞を維持する転写・代謝システムを担う酵素を阻害したヒト癌細胞を免疫不全マウスへ移植した抗腫瘍実験では、既存の抗がん剤や癌標的低分子阻害剤との併用で相乗的な腫瘍抑制効果があるかどうかを検討する予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度は、低酸素・低栄養で癌悪性化に寄与する癌幹細胞の解析を行ったが、研究事業をより精微に達成するために、研究を延長し上記計画で同定した癌悪性化に関与する因子を阻害し、現存する抗癌剤や血管新生阻害剤と相乗効果があるか腫瘍移植実験で検討する予定である。また、上記研究の成功には細胞回収時に検体の状態を均一に保つ必要があり、特に検体の破砕処理のための機器が必要である
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Overexpression of p54nrb/NONO induces differential EPHA6 splicing and contributes to castration-resistant prostate cancer growth2018
Author(s)
Yamamoto R, Osawa T, Sasaki Y, Yamamoto S, Anai M, Izumi K, Matsumura Y, Sakai J, Aburatani H, Mizokami A, Kodama T, Tanaka T
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Journal Title
Oncotarget
Volume: 9
Pages: 10510-10524
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A subset of cerebrovascular pericytes originates from mature macrophages in the very early phase of vascular development in CNS2017
Author(s)
Yamamoto S, Muramatsu M, Azuma E, Ikutani M, Nagai Y, Sagara H, Koo BN, Kita S, O'Donnell E, Osawa T, Takahashi H, Takano K, Dohmoto M, Sugimori M, Usui I, Watanabe Y, Hatakeyama N, Iwamoto T, Komuro I, Takatsu K, Tobe K, Niida S, Matsuda N, Shibuya M, Sasahara M
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 7
Pages: 3855
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Dynamically and epigenetically coordinated GATA/ETS/SOX transcription factor expression is indispensable for endothelial cell differentiation2017
Author(s)
Kanki Y, Nakaki R, Shimamura T, Matsunaga T, Yamamizu K, Katayama S, Suehiro J, Osawa T, Aburatani H, Kodama T, Wada Y, Yamashita J and Minami T
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Journal Title
Nucleic Acids Research
Volume: 45
Pages: 4344-4358
DOI
Peer Reviewed
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