2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26711006
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
齋藤 都暁 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (30423396)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 発現制御 / 遺伝子 / RNA / プロセシング / 輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
ショウジョウバエ卵巣由来培養細胞(OSC)において、piRNA前駆体をin situ hybridizationで検出した結果、細胞質内において顆粒状のシグナルが認められた。これをflam bodyと名付け、既存piRNA生合成因子群に対する抗体を用いて共染色を行った結果、flam bodyはYb bodyと隣接することを明らかにした。OSCにおいてYbをノックダウンした結果、flam bodyの消失が認められた。すなわち、flam bodyとYb bodyはpiRNA生合成過程において密接に関連することが示唆された。以上の結果をもとに、piRNA前駆体が細胞質内の特定の部位に繋留、もしくは貯蔵される可能性を報告した(Murota et al. Cell Rep. 2014)。一方、成熟したpiRNAが一体どのような分子経路を経て、核移行するのか研究することとした。これまでの解析から、Piwiが核に移行するにはpiRNAとの複合体形成が必須であることを報告している(Saito et al. Genes Dev. 2010)。しかしながら、RNA分子依存的な核移行システムについては解明が進んでいない。そこでin vitro核移行アッセイシステムによってRNA依存的な核移行が再構成可能か検討することとした。現在までにOSCからPiwi-piRNA複合体をマイクログラムオーダーまで精製することに成功しており、今後の解析に十分な実験材料を得た、と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
piRNA生合成経路におけるflam bodyの発見は、piRNA前駆体を実際に捉えた初めての知見である。これまでの解析では、RT-PCRによってpiRNA前駆体が解析されており、細胞内における挙動に関しては報告がなかった。従って、flam bodyの発見はpiRNA前駆体が段階を経てプロセシングされることを強く示唆しており、興味深い。またその細胞内の位置もYb bodyと隣接していたものの、既存のpiRNA生合成蛋白質群との共局在は認められなかった。すなわち、flam bodyに局在する新規piRNA生合成因子が存在する可能性が強く示唆された。今後、flam bodyに局在する因子を探索することによって、新たな生合成因子が見いだされる可能性が高い。一方、核移行過程に関しても実験材料としてのPiwi-piRNA複合体を高濃度で精製することに成功しており、一定の進展が認められる。
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Strategy for Future Research Activity |
OSCにおいてflam body形成に関与する蛋白質因子を探索する。OSCでは高効率のRNAi法やトランスフェクションによる過剰発現系も確立されていることから、候補遺伝子を過剰発現し、flam bodyに局在する蛋白質を探索する。一方で、ノックダウンすることでflam bodyの形成に関与する因子のスクリーニングも行う。因子の同定が為された場合、RNA-CLIP法によって、piRNA前駆体との相互作用を確認するとともに、どのようなRNA配列が認識されているかをBioinformatics解析を通じて理解する。更に分子機能や機能ドメインを過剰発現によるレスキュー実験等で解明する。同定された因子に対するモノクローナル抗体を作製し、相互作用蛋白質を同定することで、Yb body因子群を含めた分子ネットワークを理解する。これらの情報をもとにpiRNA生合成因子群の生化学的役割を明らかにする。 Piwi-piRNA複合体の核移行システムに関しては、哺乳類の培養細胞で確立されているin vitroの核移行アッセイシステムをOSCに応用する。そのためOSCの細胞抽出液を調製するとともにジギトニン処理したOSC細胞で、実際にPiwi-piRNA複合体が核移行し得るか否か検討する。コントロールとしてS2細胞から精製したPiwi蛋白質を用い、RNA分子依存的な核移行がin vitroでも再現できるか検討する。もし再現できた場合、OSC細胞抽出液を画分化し、核移行活性の有無を指標に、核移行レセプターを同定する。
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Causes of Carryover |
培養細胞の効率的な活用によって、当初計画よりも生化学的実験試薬と培養試薬の使用量を軽減することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
in vitroアッセイシステムの構築や遺伝子スクリーニングを行う計画があり、消耗品費の増大が予測される。
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Research Products
(2 results)