2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26711015
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 伸 岡山大学, その他部局等, 准教授 (90512004)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 四肢再生 / 過剰肢付加モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究提案は、有尾両生類(メキシコサラマンダー・イベリアトゲイモリ)における四肢再生誘導物質の確定とそれを使用した遺伝子改変動物の創出を目的にする。これまでの研究結果によって、四肢再生物質の同定は確定的になった。FGF2、FGF8,BMP2もしくはBMP7の複合的なインプットが再生誘導物質としての機能を果たすことを示した。この物質は通常皮膚修復反応しか起こりえない環境に対して、四肢再生誘導反応に転換させる効力を有する。結果、皮膚損傷部から四肢を形成させる作用を有する。これら再生誘導因子がどこから放出されてるのかそのソースに関する部分はまだ確定的な証拠はない。そこで、本研究では、当初の計画にはなかったが再生誘導物質が内在的環境下でどこから放出されているのかについて研究を進めることにした。大きな可能性として神経組織をあげることができる。神経組織に着眼する理由は歴史的背景と我々の先行研究による強い示唆があるためである。これまで有尾両生類ではノックダウンを行う事が難しかった。これに対して二重長鎖RNA(dsRNA)の導入によるRNA干渉法を試みた。四肢に神経を投射する後根神経節にBMP7とFGF8の抑制を目的にしたdsRNAを導入することで効果的な四肢再生阻害を引出すことができている。この実験結果は神経から放出されるBMP7とFGF8が四肢再生誘導に対して大きな役割を担っている事を示すと考えられる。これらの研究をさらに発展させることで、再生誘導物質の確定と内在環境における再生誘導物質の放出源を突き止めることができると期待している。遺伝子改変動物創出については、初期胚時における非特異的な発現が解決できないため、胚性致死となることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子改変動物の創出はあきらめたものの、将来の目的を達成する代替研究を推進できている。それは細胞培養法の確立であり、これに成功している。現在有尾両生類の四肢由来の細胞を20代以上継代できている。また、再生誘導物質の確定については当初の目標を大きく超え、研究を展開できている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の記載と当初の研究計画書の通り、神経に発現するFGFとBMPに着目し研究を展開する。また、細胞培養法の確立と、培養細胞を使用した再生誘導物質の下流因子の探索を推進する。最終年度という事もあり、論文にまとめてゆく作業を進めてゆきたい。
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Causes of Carryover |
動物のコンディションによる使用不能期間が生じたことに主に起因する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在は動物の使用制約はないため、計画通り(変更を含む)に研究を進めることができる
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Research Products
(5 results)