2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26711017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田村 謙太郎 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40378609)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シロイヌナズナ / 細胞核 / 変異体 / 核膜 / イメージング / 植物免疫 / サリチル酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は以下の2点について研究成果を得た. 1)細胞核の運動に関わるミオシンXI-iと核膜タンパク質複合体(LINC complex)の制御系を明らかにするために,2系統の細胞核運動不全変異体の解析を行った.これら変異体の原因遺伝子を同定したところ,細胞骨格関連因子および機能未知タンパク質をコードしていることが分かった.特に後者の機能未知タンパク質についての情報を得るために,相互作用タンパク質の同定を免疫沈降および質量分析計を用いて行った.その結果,相互作用因子として環境ストレス応答に関与するキナーゼが得られた.リン酸化シグナル経路を介した新しい核運動制御系の存在が強く示唆された. 2)新規な核膜孔複合体構成因子Nup82を同定した.Nup82は植物特異的なタンパク質で,その機能は保存配列を部分的にもつNup136と重複していた.nup82 nup136二重変異体では,サリチル酸応答遺伝子の発現量が顕著に低下していることがトランスクリプトミクス解析によって分かった.病原性細菌Pseudomonas syringaeの感染実験により,Nup82とNup136は防御応答遺伝子の発現を介した植物免疫応答に必須な因子であることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞核の運動不全変異体に関しては,当初の目的通り原因遺伝子の同定に加えて,相互作用因子の単離によって新たなシグナル経路の存在を示唆することが出来た.核膜孔複合体構成因子Nup82に関しては,病原性細菌を用いた感染実験から,核膜孔による防御応答遺伝子セットの発現を介した免疫応答系を明らかにすることができた.本研究成果はNucleus誌で発表した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画では3本柱(A.細胞核運動,B. 核膜構造を規定する因子,C. 核膜孔を介した植物免疫)で成り立っている.Aについては原因遺伝子の解析を行って,成果を出来るだけ早くにまとめる.Bについては新たに単離した因子の欠損変異体の表現型解析に集中して進める.Cについては研究成果の発表を行えたので今年度で終了する.
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Causes of Carryover |
核膜孔を介した防御応答の解析において,病原性細菌による感染実験の条件検討に時間がかかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度集中的に進める予定の核膜構造を規定する因子の解析に必要な経費として使用する.
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Research Products
(4 results)