2017 Fiscal Year Annual Research Report
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26711017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田村 謙太郎 京都大学, 理学研究科, 助教 (40378609)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | シロイヌナズナ / 細胞核 / 核膜 / イメージング / 花粉管 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究計画において得られた成果は以下の通りである. 1)花粉管核における核運動を支配する因子の解析を行った.この因子を欠く変異体では野生型と比較して種子生産能が減少しており,この原因が雄性配偶体由来であることがレシプロカルクロス法によって明らかとなった.この因子は核膜と細胞骨格をつなぐLINC (Linker for nucleoskeleton and cytoskeleton) 複合体のメンバーである可能性が高い.さらに,既知のLINC複合体メンバー欠失変異体が示す花粉管内における核運動不全の表現型と似ていた.伸長中の花粉管内における核運動は効率良い種子生産に必須であることから,この複合体を介した核運動が植物の生殖戦略に必須である可能性が示唆された.
2)適切な核膜構造の形成に必須な新規コイルドコイルタンパク質の解析を行った.この変異体が示す表現型を解析したところ,雌性配偶体の初期発生に異常があることが見つかった.雄性配偶体は正常に発生することから,この因子が胚嚢形成に重要な役割を持つことが明らかとなった.また,既知の核膜構造変異体との二重変異体を作成した.ラミナ様構成成分を欠く変異体との二重変異体は致死となることから,このコイルドコイルタンパク質は,植物核膜の裏打ち構造を形成する上で必須なタンパク質である可能性が高いことが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの細胞レベルでの表現型に加えて,配偶体形成および花粉管内における細胞核の形態・運動の生理学的役割を明らかとすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
新規コイルドコイルタンパク質については特異抗体が最近得られたので,タンパク質の生化学的解析を行う.研究計画の最終段階に来たことから,得られた研究成果は論文として速やかに公表する.
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Causes of Carryover |
昆虫細胞を用いた新規コイルドコイルタンパク質の大量発現の条件検討に当初の想定以上の時間がかかった.次年度では得られた組換えタンパク質および特異抗体を用いた生化学的解析を行って,研究成果をまとめる.
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Research Products
(1 results)