2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26711021
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
二橋 亮 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (50549889)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トンボ / 色覚 / 体色変化 / 体色多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
アカトンボ(トンボ科アカネ属)は、日本のトンボの中では桁違いに種数が多く、体色や斑紋に著しい多様性がみられる。一方で、トンボの体色や色覚の進化に関わる分子機構は、現時点で全く解明されていない。平成26年度は、アキアカネを中心としたトンボの色覚の分子基盤に関して、電気生理学的手法、組織学的手法、および次世代シークエンサーを用いたオプシン遺伝子の網羅的解析を用いて解析を進めた。その結果、アキアカネなどトンボ科では20種ものオプシン遺伝子が存在すること、各オプシン遺伝子は幼虫と成虫および成虫複眼の背側と腹側で全く異なる発現パターンを示すこと、オプシン遺伝子の発現と対応するように複眼背側では紫外線から短波長領域を主に認識するのに対して、複眼腹側では紫外線から長波長までの幅広い領域を認識できることが明らかになった。さらに、トンボ11科12種で解析を進めた結果、11~33種のオプシン遺伝子が同定され、種ごとに遺伝子レパートリーが多様化していることが確認された。このような極端なオプシン遺伝子の多様性は、動物の色覚進化を考えるうえでの新知見であり、2015年にPNAS誌で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度はアカトンボを中心としたトンボ全般に関する色覚の分子基盤に関して、オプシン遺伝子の多様化という面でその実態に迫ることができ、年度内にPNAS誌で発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、雌雄や成熟過程における色覚遺伝子の変化の実態の解明を進めるとともに、体色形成にかかわる遺伝子についても解析を進めたい。
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Causes of Carryover |
おおむね計画通りに研究が進んだが、海外出張費が先方から支給されたため、若干次年度に繰り越しになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は当初の申請書の研究計画に比べ実際の交付額が330万円少ないため、当初の研究計画にあったように平成27年度に行う遺伝子解析用の費用に充てる予定である。
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Research Products
(18 results)