2016 Fiscal Year Annual Research Report
Small RNAを利用した次世代順遺伝学スクリーニング系の開発とその応用
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26712006
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
竹田 篤史 立命館大学, 生命科学部, 准教授 (60560779)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 植物-病原体相互作用 / RNAiスクリーニング / バイオテクノロジー / 遺伝学 / 植物ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度までに確立した人工ランダムtasiRNA発現植物ライブラリー作出法を利用して、植物ライブラリーの構築を進めた。昨年度までの解析から、一植物あたり約5遺伝子の発現抑制が起こることが予想されたため、ウイルス宿主因子同定に向けてライブラリーサイズの増加に努めた。この植物ライブラリー作成の過程で、発現抑制されると予想される遺伝子群が、そもそもウイルス感染を評価する葉組織で発現しているのかどうかを調べるべきであるという考えに至った。そもそも、ウイルスは葉で発現していない遺伝子産物を宿主因子として利用できないはずである。そこで、約100ラインのT2植物において、組み込まれた人工tasiRNA配列を決定し、標的と予測された遺伝子群がそもそも野生型植物の葉で発現しているかどうかを調べた。その結果、各ラインあたり約1遺伝子の発現しか抑制されないことが判明した。つまり、現状のままライブラリーサイズを大きくして順遺伝学スクリーニングを行なっても、本研究の強みとして想定していた重複遺伝子の同定にはまず至らないであろうと予測された。そこで方針を変更し、完全にランダムなtasiRNAのライブラリーではなく、葉で発現している遺伝子のみを標的にした人工tasiRNAのプールを利用することで、標的遺伝子が少なすぎる問題を解決する試みを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要の項目に書いた通り、当初想定したいた効率で遺伝子の発現を抑制できないことが判明したため。
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Strategy for Future Research Activity |
ランダムな人工tasiRNAを用いることには、アノテーションされていない遺伝子を含めて発現抑制してしまえるという強みがある。しかし、本年度発覚した効率の悪さを考えると、当研究室の研究体制でCMVの宿主因子同定に到達するのは、ほぼ無理であろうと結論づけた。そこで、標的とする遺伝子群を以下の4通りに絞り、実験を行う。1. 葉で発現している遺伝子群、2. 液胞膜状に局在しているタンパク質をコードしている遺伝子群、3. リン脂質の代謝に関与している遺伝子群、4. 転写因子群。これら4つの遺伝子群に含まれる遺伝子を標的として、in silicoで確実に標的遺伝子を持つ人工tasiRNAをデザインする。これらをin silicoで連結した後に、オリゴアレイを合成することで、人工ランダムtasiRNAの鋳型の代わりとする計画である。これらの人工tasiRNAプールを用いて新たに植物ライブラリーを作出し、引き続きCMVの宿主因子の同定を試みる計画である。また、葉におけるウイルス感染以外の生命現象にも本スクリーニング系が適用できるかどうかも引き続き検証していく。
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Research Products
(8 results)