2014 Fiscal Year Annual Research Report
食経験に起因する味嗜好性変化の評価モデルの構築とその発生要因の解明
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26712014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
成川 真隆 東京大学, 農学生命科学研究科, 特任助教 (50432349)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 食経験 / 味覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
食刺激に起因する味嗜好性変化を検出するための実験モデルの構築を目指し、様々な生育ステージのマウスに味刺激を与え、味嗜好性を変化させ得る時期の同定を試みた。離乳期、成長期、成熟期のマウスに味刺激を与え、一定期間経過後、味嗜好性の変化を行動学的手法により観察した。その結果、提示した味刺激に対する嗜好性の変化が観察された。この嗜好性の変化は、離乳期、成長期、成熟期のいずれの生育ステージにおいても観察された。したがって、味嗜好性の変化は刺激に暴露される時期に依存しない可能性が示唆された。 また、この嗜好性の変化に末梢の味覚機能が関与するかどうかも検討した。まず、リッキング法により味刺激に対する検出感度の変化を味刺激暴露群と味溶液の代わりに水を提示したコントロール群で比較した。味刺激暴露群では味刺激に暴露したため、味嗜好性が変化したにもかかわらず、味溶液に対する検出感度に明確な変化は認められなかった。さらに、味を検出する味蕾細胞において、味受容体を含む味シグナル関連分子の発現を免疫組織化学法により観察した。しかしながら、これら分子の発現も味刺激暴露群とコントロール群間で明確な差は観察されなかった。このことから、味刺激暴露による嗜好性の変化に末梢の味覚機能の変化は伴わない可能性が考えられた。 現在、各種味覚受容体欠損マウスを用いて同様の解析を行い、味嗜好性の変化への味覚受容体の関与を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画に関しては上記研究実績の概要に記した通り、予定通り進展している。2年目についても順調に進むことが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度確立した実験系を用いて、脳内の遺伝子発現パターンと活性化部位の変化を観察する。
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Causes of Carryover |
未使用額が生じた理由は、実験に使用する遺伝子改変動物の繁殖効率が低く、実験に使用できる個体数が少なかったことから、解析に関わる試薬・消耗品の購入が少なかったためである。交配方法の変更により繁殖効率が改善し、実験に使用できる個体数も増えてきたことから、H27年度は個体数がH26年度よりも増加するため、未使用額についてはH27年度研究費と併せて使用する計画である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額と助成金を併せた使用計画は実験に必要な薬品、消耗品等の購入費用に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)