2015 Fiscal Year Annual Research Report
Linking microbial community with nitrogen cycling in forests
Project/Area Number |
26712015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
磯部 一夫 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (30621833)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 森林土壌 / 窒素循環 / 硝化 / 脱窒 |
Outline of Annual Research Achievements |
全国40箇所の森林土壌中のバクテリア群集組成を解析した。具体的には土壌から抽出・精製したDNAに含まれる16S rRNA遺伝子をPCR法により増幅したのち、ハイスループットシーケンサーを用いて各土壌から22000の塩基配列を得た。得られた塩基配列について97%以上の相同性を有する配列をひとつのOTU(Operational Taxonomic Unit, 種と同義)とした。各森林において土壌中のバクテリアの組成は異なっており、それは土壌のpH(3.5-7.5)に応じて変化することが示された。またバクテリアのOTU数(種数)は酸性土壌で小さく、中性付近で最も大きくなることが示された。また昨年度に解析を行った16S rRNA遺伝子量(バクテリア量)は土壌のpHではなく、土壌中の窒素濃度との間に相関が見られたことから、森林土壌のバクテリアの量と組成は異なる因子によって規定されていることが示された。天然林と人工林で比較すると人工林土壌のバクテリア群集組成は、天然林土壌のそれに比べて、地点間変動が小さいことも示された。また、昨年度に解析法を確立した手法を用いて脱窒に必要な遺伝子(亜硝酸還元酵素遺伝子)についても、PCR法による増幅、ハイスループットシーケンサーを用いた塩基配列解読を行った。対照として農耕地土壌についても同様に解読を行った。その結果、森林土壌と農耕地土壌では脱窒バクテリア群集が異なっていること、森林土壌においてはこれまで生態が研究されていないバクテリアが脱窒バクテリア群集の中で優占していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、各森林土壌中のバクテリア群集組成とその成立要因の解析を行うことができた。また本研究において確立した亜硝酸還元酵素遺伝子(脱窒微生物群集)の解析法の有用性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
森林土壌中のガビ群集組成の解析を行い、バクテリア群集との関係性についての解析を行う。また最終年度として、森林の窒素循環速度(アンモニア生成速度、硝化速度)と微生物群集との関係性についての解析を行う。
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Causes of Carryover |
次年度にデータ解析を担当する博士研究員を雇用することを計画しており、人件費として計上していた分を次年度の予算として使用する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ解析を担当する博士研究員を雇用するために使用する。
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Research Products
(10 results)