2016 Fiscal Year Annual Research Report
クロロフィル蛍光を利用した植物葉内の外来タンパク質含量変動モニタリング手法の開発
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26712021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 怜 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 准教授 (20547228)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 医薬用タンパク質 / 一過性遺伝子発現 / 生体情報 / クロロフィル蛍光 / 葉温 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,迅速かつ安価な医薬用タンパク質(PP)生産法として期待されている,植物を利用した一過性遺伝子発現法において,クロロフィル(Chl)蛍光パラメータや葉温などの生体情報が植物葉内のPP含量を反映するという着想および萌芽的実験結果にもとづき,PP含量の変動を非破壊・非接触で定量する生体情報計測・解析技術を開発することにある。平成28年度はおもに葉温に着目し,葉温計測によって取得できるPP含量変動に関する情報を明確化するとともに,葉温がPP含量変動を反映することの生理的根拠に関する知見を得ることを試みた。また,これまでモデルPPとして用いてきた,インフルエンザワクチンタンパク質であるヘマグルチニン(HA)に加えて,コレラワクチンであるコレラ毒素Bサブユニット(CTB)を実験に供した。 1.遺伝子導入後の気温が21,23および26°Cでは,気温によらず,葉温(明期平均)は徐々に上昇し,その後低下した。葉温の上昇は気孔コンダクタンスの低下に伴うものと考えられる。他方,遺伝子を導入しない葉では,葉温および気孔コンダクタンスに顕著な変動は認められなかった。このことから,葉温にもとづいてPP蓄積の有無を非破壊・非接触で判別しうると考えられる。また,この葉温差を,サーモグラフィによる熱画像によって面的に捉えることができることを確認した。さらに,気温が高いほどPP含量が最大となる日が早まる傾向にあり,葉温が最大となる日は,気温によらず,PP含量が最大となる日のおよそ1日前であった。このことから,遺伝子導入後の栽培気温に時空間的不均一が生じた場合でも,葉温にもとづいて,PP含量が最大となる日,すなわち収穫適期を事前に推定できる可能性が示された。 2.CTBの発現・定量系を確立した。HAと同様に,高気温下でCTB含量が最大となる日が早まる傾向にあることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
葉温にもとづいて,PP蓄積の有無やPP含量が最大となる日などの情報を非破壊・非接触で判定しうることを示しており,目的とする技術開発はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子導入およびPP蓄積が気孔コンダクタンスの変動を介して葉温に影響を及ぼす機作について考察を深めるため,追加的な実験を行う。また,遺伝子導入およびPP蓄積が光合成活性に及ぼす影響を,異なる光合成有効光量子束密度(PPFD)およびCO2濃度条件下で測定することで詳細に解析し,生体情報としてのChl蛍光パラメータの適用可能性について結論を得る。これらの成果を,国内・国際学会や査読付学術雑誌などで公表する。
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Causes of Carryover |
当初の計画を効率的かつ効果的に進めた結果,直接経費を節約することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
補助事業の目的をより精緻に達成するため,補助事業期間を1年度延長し,遺伝子導入およびPP蓄積が光合成活性および気孔コンダクタンスに及ぼす影響の解明に関する追加実験を実施する。また,国内・国際学会や査読付学術雑誌などで成果を公表する。
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Research Products
(7 results)