2014 Fiscal Year Annual Research Report
第一減数分裂中期停止の発生機序の解明と染色体異常のない卵子の獲得
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26712022
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
星野 由美 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10451551)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 卵子 / 第一減数分裂中期 / 第二減数分裂中期 / 染色体 / 紡錘体 / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、加齢などの要因から、減数分裂が途中(第一減数分裂中期)で停止し、受精できない事例が多く報告されている。本研究では、第一減数分裂中期停止の発生機序の解明を目的としている。 初年度は、第一減数分裂中期(MI期)の停止に関わる候補因子の検索を進めた。マウス卵子を研究材料として、減数分裂中期で機能する因子の探索とその役割を解析した。特徴的な挙動を示したKizunaとPin1タンパク質に着目して、以下の成果を得た。 マウスの卵成熟過程においてKizunaタンパク質は、MI期にある約60%の卵子で染色体周辺での局在化が認められた。第二減数分裂中期(MII期)においては、紡錘体極に局在するもの(14%)、細胞質内に散在するもの(36%)、局在化が認められないもの(50%)が検出され、卵子の状態によってKizunaタンパク質の局在が異なる結果であった。また、MI期とMII期において挙動が異なることから、それぞれ異なる役割を果たしている可能性が考えられた。機能的役割については現在解析を進めているが、研究代表者のこれまでの研究成果に基づいて考察すると、Kizunaの発現(局在)パターンは卵子のクオリティーを反映している可能性が高いと言える。 Pin1は、リン酸化したタンパク質に特異的に働くプロリン異性化酵素(PPIase)であり、体細胞では微小管の重合や細胞周期の進行に関与することが知られている。卵成熟過程におけるPin1タンパク質の局在を調べたところ、減数分裂中期(MI期、MII期)の紡錘体上に強く局在化していた。Pin1特異的阻害剤(Juglone)を用いて卵成熟過程のPin1の機能を阻害したところ、濃度依存的に成熟率が低下した。50μM濃度で使用した場合、第一極体が放出できずにMI期で停止する卵子の割合は90%以上であった。この結果から、Pin1は、MI期の紡錘体形成や極体放出(染色体分配)に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究遂行に関わる最大のポイントは、第一減数分裂中期特異的な現象やメカニズムを明らかにすることである。平成26年度の研究計画は、「減数分裂再開後の発現遺伝子の比較と第一減数分裂中期の停止に関わる因子の検索」であり、予定通りに研究を展開し、第一減数分裂中期に関わる2つの因子を決定することができた。これを一つの軸として、引き続き第一減数分裂中期特異的な現象やメカニズムを解明していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、当初の予定通りに展開する予定である。すなわち、平成26年度の研究で同定した第一減数分裂中期特異的に機能するタンパク質に着目し、加齢における発現パターンへの影響を調べる。続いて、加齢によって最も影響を受ける卵細胞質内因子を決定する。また、卵成熟過程における染色体の整列・分配と紡錘体の形成・維持に関わるタンパク質としての発現と機能解析を進めていく。
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Research Products
(1 results)