2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26713001
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横島 聡 名古屋大学, 創薬科学研究科, 准教授 (10376593)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 天然有機化合物 / アルカロイド / 医薬品 / 縮環構造 / 多官能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ユズリミンの合成:シクロペンテノンのDiels-Alder反応を行い得られる三環性化合物の二重結合部位を、オゾン酸化により酸化的に開裂した。目的としたCannizzaro反応は進行しなかったが、得られた化合物の酸化段階の調節、保護基の導入の後、カルボニルα位に酸素原子を導入し、還元の後得られるジオールを酸化的に開裂することで、二環性のケトンを得た。更に塩基で処理することでカルボニル基のβ位に存在する酸素官能基の脱離を行い、不飽和ケトンを得た。また一方、別の経路の検討も行った。マレイン酸無水物のDiels-Alder反応で得られる四環性化合物を基質として用い、酸無水物部位の加水分解とハロラクトン化を経て、二つのカルボン酸部位をラクトンおよび遊離のカルボン酸として区別することに成功した。化合物中に含まれる二重結合部位を酸化的に開裂させた後、還元処理を行うことで、酸素官能基の区別を行った。残ったカルボニル基をアセタールとして保護した後、遊離のヒドロキシ基にジイソプロピルシリル基を導入し、近傍に存在する二重結合との間で、分子内ヒドロシリル化反応を行うことで、水酸基導入の足掛かりとなるシリル基の導入を立体選択的に行った。 リコパルヒンAの合成:市販のシクロヘキサントリオールを原料として用いて、クロスカップリング反応、転位反応を鍵反応として用いて、必要な炭素鎖を有する基質の合成に成功した。今後、シクロプロパン化を経由することで骨格構築の検討を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多官能性化合物の取り扱いに際し、予期できない結果が得られることがあるが、それらの結果を通して、化合物の骨格および官能基に関する知見を得ることが出来ている。それらの知見を合成計画にもフィードバックし、官能基の導入と骨格構築を、統合的な理解のもと、進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
ユズリミンの合成:現在の合成経路においては、複数の官能基の区別に問題が生じることがあるため、それらの官能基を必然的に区別しながら骨格構築と官能基の導入を進めていくことができるように、合成経路の改変を含めて、検討を行って行きたい。リコパルヒンAの合成:必要な炭素鎖を有する基質の合成に成功していることから、検討を継続して、官能基の導入および基本骨格の構築を行いたい。
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Causes of Carryover |
合成経路開拓に関する知見は十分得られているが、初期検討に時間を要し、大量合成の検討がまだ不十分である。大量合成用の試薬類の予算として確保していた分を、次年度に使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
基質の大量合成を行い、合成経路開拓の検討に必要な化合物の供給を円滑に進める予定である。
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Research Products
(1 results)