2014 Fiscal Year Annual Research Report
「ヒトの免疫学」からアプローチする抗膀胱癌免疫療法ナノメディシンの開発
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26713002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 孝司 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (20604458)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膀胱がん / リポソーム / ナノ粒子 / BCG / がん免疫療法 / 網羅的遺伝子発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度では、BCG-CWS搭載ナノ粒子を用いたBCG菌による抗膀胱がん免疫誘導の分子メカニズムの解明を目的として実験を行った。マウスを用いた実験より、BCG-CWS搭載ナノ粒子による抗膀胱がん作用の開始には、樹状細胞などの免疫担当細胞ではなくBCG-CWS搭載ナノ粒子が膀胱がん細胞に内在化することが必要であることを明らかにした。この結果はBCG生菌の免疫活性化中心であるBCG-CWSの膀胱がん細胞への内在化が抗膀胱がん免疫応答を開始させることを示しており、BCG生菌においても膀胱がん細胞へのBCG生菌の感染に起因するBCG-CWSの内在化が重要であることが予想された。そこで、まずマウス膀胱がん細胞を用いた分子メカニズムの解析を行うこととした。マウス膀胱がん細胞(MBT-2)にBCG-CWS搭載ナノ粒子を取り込ませることでBCG-CWSをMBT-2細胞に内在化させる。その後、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、BCG-CWS搭載ナノ粒子を処理した群では、コントロール群と比較して有意に発現変動が起こっている遺伝子群を見出すことに成功した。さらに、それらの遺伝子群はmRNAレベルだけではなく、タンパク質レベルでも変動していることが明らかになった。この結果はBCG-CWS搭載ナノ粒子を用いることで初めて明らかになったものであり、BCG生菌による抗膀胱がん免疫誘導のメカニズム解明に大きく貢献する知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロアレイを用いた遺伝子発現解析により、BCG-CWS搭載ナノ粒子が誘導する膀胱がんに対する抗腫瘍免疫に関連する遺伝子を見出すことに成功した。これは当初予定した通りの成果であり、次年度の解析の基盤となるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイ解析により見出した遺伝子発現変動と抗腫瘍活性との関連性をin vivoで調べるとともにヒト細胞を用いた分子レベルのメカニズム解析へと展開する。
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Causes of Carryover |
平成26年度中に全額使用済みであるが、年度末に購入した物品費の支払いが本報告書の作成時点で反映されていないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のとおり、平成26年度中に全て使用済みである。
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