2015 Fiscal Year Annual Research Report
「ヒトの免疫学」からアプローチする抗膀胱癌免疫療法ナノメディシンの開発
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26713002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 孝司 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (20604458)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膀胱がん / リポソーム / ナノ粒子 / BCG / がん免疫療法 / 網羅的遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度では、BCG-CWS搭載ナノ粒子とBCG生菌が誘導する免疫反応を比較することで、抗膀胱がん免疫誘導の分子メカニズムの解明を行うとともにBCG-CWS搭載ナノ粒子の機能を向上させるための因子の探索を行った。BCG-CWS搭載ナノ粒子もしくはBCG生菌をマウス膀胱がん細胞(MBT-2、MB49)に取り込ませた後の培養上清中のサイトカイン、その培養上清とマウス脾臓細胞を混合培養した際に産生されるサイトカイン、BCG-CWS搭載ナノ粒子もしくはBCG生菌を直接脾臓細胞に作用させた際に産生されるサイトカインをELISA法により評価した。その結果、BCG生菌による膀胱がんに対するメカニズムの一旦を明らかにするとともに、本申請研究の目的であるNano-BCGを構築するための情報を得ることに成功した。 また、Nano-BCGの機能を評価するための系として、マウス膀胱がん同所移植モデルの構築と免疫細胞の標的遺伝子をノックダウンするためのsiRNA搭載ナノ粒子の構築を行った。マウス膀胱がん同所移植モデルの構築では、マウス膀胱がんMB49を膀胱内に移植する際の前処理、細胞数などの実験条件の確定とポジティブコントロールであるBCG生菌の抗腫瘍活性を評価することでマウスモデルを構築した。siRNA搭載ナノ粒子の構築に関しては、免疫細胞の一種である樹状細胞における標的遺伝子を世界トップレベルの効率でノックダウン可能なsiRNA搭載ナノ粒子の開発に成功し、国際誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BCG-CWS搭載ナノ粒子とBCG生菌のサイトカインプロファイルを細胞レベルで比較することで、BCG生菌による抗膀胱がん免疫応答の分子メカニズムが明らかになりつつある。さらには最終目的であるNano-BCGの構築に必要な情報を得ることに成功した。これらの成果は予定通りの進捗である。 加えて、Nano-BCGの機能評価をするための評価系としてマウス膀胱がん同所移植モデルの構築に着手し、ほぼ構築することができた。またsiRNA搭載ナノ粒子に関する成果を論文にまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Nano-BCGの構築に必要な免疫活性化ユニットを決定し、Nano-BCGを構築する。そして、マウス膀胱がん同所移植モデルを用いた機能評価を行い、Nano-BCGを最適化する。
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Causes of Carryover |
平成27年度中に全額使用済であるが、年度末に購入した物品費の支払いが本報告書の作成時点で反映されていないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の通り、平成27年度中に全て使用済である。
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