2014 Fiscal Year Annual Research Report
多剤耐性転写制御因子の動的薬剤認識と機能発現のNMR解析
Project/Area Number |
26713003
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
竹内 恒 独立行政法人産業技術総合研究所, 創薬分子プロファイリング研究センター, 主任研究員 (20581284)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 多剤耐性 / 構造生物学 / 溶液NMR法 / 動的立体構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては原核生物の多剤耐性トランスポーターの発現を担う多剤耐性転写因子が、様々な薬剤を認識し、転写制御を行う機構を、NMR 法を用いた動的立体構造解析により明らかにした。多剤耐性転写因子としてはPadRファミリーに属し、Lactococcus lactisの主要な多剤耐性機構を担うLmrRを対象とした。溶液NMR法を用いた運動性解析の結果、LmrRが非結合状態においても薬剤結合部位にus-nsの運動性を有することを見出した。またメチル化学シフト解析の結果、非結合状態においてはa4ヘリックスが開構造から閉構造の広い構造的平衡を示す一方、薬剤の結合に伴って、異なる度合いで閉方向に構造平衡が傾くことが明らかとなった。すなわちLmrRは薬剤の構造に合わせてa4ヘリックスの構造平衡を柔軟に変化させることで、様々な薬剤に対する結合を達成する。またメチル緩和解析により薬剤結合前後でのLmrR内部の運動性変化を比較すると、薬剤結合後にはむしろ遠位での構造的柔軟性が向上しており、その度合いから導き出される構造エントロピーは分子全体では増大していた。このことはLmrRが運動性の再配分を行うことで、薬剤への結合強度を構造エントロピーを介して向上させていることを示している。等温滴定型熱量計を用いた熱力学的解析を行った結果、LmrRの薬剤認識がエントロピー駆動型であり、NMR法から得られる知見と合致した。またLmrRはDNA結合に伴い、a4ヘリックスの構造平衡を薬剤とは逆向きに傾かせる。a4ヘリックスの構造はDNA結合ヘリックス間の距離と相関していることから、薬剤結合時にはDNAと結合しにくい構造にヘリックス間距離が分布していることとなる。このことが薬剤結合に伴うDNA親和性の低下を誘起すると考えられた。以上の知見はNMRを用いた動的構造解析により初めて明らかとなったものであり、多剤耐性システムの制御に重要な示唆を与えるものである。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Causes of Carryover |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)