2014 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症での一酸化炭素誘導によるオートファジー活性化と心筋保護効果に関する研究
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26713024
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鵜沼 香奈 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (30586425)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 敗血症 / オートファジー / 心臓 / 肝臓 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症は、一旦発症すると多臓器不全などを経て約半数が死に至る、極めて重篤な病態である。また、敗血症ではミトコンドリアの障害や酸化ストレスが諸臓器の構造や機能に障害を与える事が知られている。臓器特異的Atg5やAtg7欠損マウスを用いると、機能を消失した異常ミトコンドリアが蓄積し、酸化ストレスやゲノム傷害などが誘導され腫瘍形成などの一因になる事が報告され、障害ミトコンドリアのオートファジーによる除去は極めて重要であり、多方面での臨床応用が期待されている。私はこれまでにリポポリサッカリドをラット腹腔内に投与して作成した敗血症モデルの肝臓で、ヘムオキシゲナーゼ1による一酸化炭素誘導により、オートファジーによる障害ミトコンドリアの処理能力が高まり、肝細胞保護的に働く事を見い出し報告している(Unuma K et al, Hepatol Res. 2013)。さらに、昨年度は肝臓以外の諸臓器についても、敗血症モデルにおけるオートファジー、ヘムオキシゲナーゼ1誘導の効果について検討を行い、角膜および肺でも、オートファジー、リソソーム・ミトコンドリア再生機構の活性化や、酸化ストレス軽減による筋線維芽細胞細胞誘導促進の緩和などが起こることを見いだし、2報の国際誌に報告した(J Toxicol Pathol. 2014, J Toxicol Pathol. in press)。心臓に関しては、予備実験でリソソームとオートファジーの融合を阻害するクロロキン投与によって、他の臨床症状に先行して心不全症状が顕在化することを確認しており、来年度は心エコーや心電図など生理学的な評価を行える機器を購入し、心機能変化に対する寄与についても検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初敗血症モデルラットの心臓に絞って研究を遂行する予定であったが、角膜、肺でも、オートファジー、リソソーム・ミトコンドリア再生機構の活性化や、酸化ストレス軽減による筋線維芽細胞細胞誘導促進の緩和などを見い出し英文の学術誌に報告等する事が出来た(J Toxicol Pathol. 2014, J Toxicol Pathol. in press)。また心臓に関しても細胞レベルの実験は順調に遂行されており、本年度に生理学的な変化への検討を加えデータをまとめていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
生理学的なデータをとるために本年度心エコーを購入し心機能評価をする予定である。また、siRNAを用いた遺伝子ノックダウンによるオートファジー変動、リソソーム・ミトコンドリア再生機構への直接作用機構の解析を、昨年度購入した共焦点顕微鏡システム等を用いてリアルタイムな細胞内における変化を観察していく予定である。
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