2015 Fiscal Year Annual Research Report
ZnOナノ粒子による毒性機序解明に関する法医学的研究
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26713025
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
藤原 純子 島根大学, 医学部, 助教 (20346381)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 毒性評価 / ナノ粒子 / 元素分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化亜鉛ナノ粒子は、センサーや電子デバイス、抗菌材、塗料、化粧品や食品添加物などに用いられている。我々は、マウスを用いて酸化亜鉛ナノ粒子の静脈内投与後の毒性影響評価を行い酸化亜鉛ナノ粒子が炎症促進反応や、肝障害を引き起こすことを明らかにした。酸化亜鉛ナノ粒子には、p型(正孔を持つ)とn型(伝導電子を持つ)が存在するが、これらの毒性の差異は明らかになっていない。そこでin vitroでのこれら酸化亜鉛ナノ粒子の毒性評価を行った。 p型、n型の酸化亜鉛ナノ粒子のIC50値はそれぞれ、29.1μg /ml, 17.1μg /mlであった。また生/死細胞の観察では、IC50値の結果と同様、n型でp型より多く死細胞が観察された。またROS とsuperoxideは両酸化亜鉛ナノ粒子で生成されたがn型でややROSが多く生成されていた。またアポトーシスが酸化亜鉛ナノ粒子によって引き起こされることが示されたが、各種の差異は見られなかった。細胞中Zn濃度は n型(47.3μg /10 6 cells)、p型(34.6vμg /106 cells)であった。 n型がp型に比較して毒性が強いのは、n型の還元作用により、フリーラジカルが産生されることでROSがより生成されたためであると考えられる。また細胞中Zn濃度はn型が高く、細胞透過性の差異の関与も考えられる。今後はこの差異について詳細に検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H27年度では、交付申請書に挙げていた目的の2点について論文を書くことができたため。 ①酸化亜鉛ナノ粒子静脈内投与後の体内動態および臓器内分布の精査について明らかにした。Fujihara et al., J Med Invest 2015;62 (1, 2) 45-50) ②酸化亜鉛ナノ粒子による毒性機序の解明(炎症性サイトカイン、酸化ストレスマーカー)にについて明らかにした。Fujihara et al., The European Review for Medical and Pharmacological Sciences, 2015; 19: 4920-4926.
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書で挙げていた目的の「ZnOナノ粒子が血液凝集に及ぼす影響の解明」は、予備的検討の中で解明が困難であった。そのため今後は、酸化亜鉛ナノ粒子のn型およびp型の毒性の差異、また光触媒効果が毒性に及ぼす影響を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
H27年度に導入した分光分析装置(MP-AES)について、当初予定していたよりも低い価格での導入が可能であったため。次年度の経費と併せて備品の購入を検討している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
毒性のアッセイに必要な発光プレートリーダーの購入を検討している。
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Research Products
(17 results)