2016 Fiscal Year Annual Research Report
逆ドラッグデザイン法の確立とポリグルタミン病分子治療薬の開発
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26713030
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
武内 敏秀 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座講師 (70600120)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ポリグルタミン病 / ドラッグデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ポリグルタミン(PolyQ)タンパク質に対する凝集阻害化合物の開発、および治療候補化合物を脳内に効率よくデリバリーするための汎用的手法の開発を行い、PolyQ病に対する治療法開発を目指す。この目的において、PolyQタンパク質に選択的結合活性、凝集阻害活性を有するペプチドQBP1のNMR立体構造解析による構造情報をもとにして、凝集阻害化合物の開発を行っている。実験に必要なQBP1ペプチドの15Nラベル体(15N-QBP1)、および様々な鎖長のPolyQ鎖をチオレドキシンタンパク質と融合させたモデルPolyQタンパク質(Thio-PolyQ)は、前年度までに確立した方法により調製した。これまでに、Thio-Q62が15N-QBP1とともに微細な凝集体を形成し、NMR測定が困難であることが示唆されていたため、凝集性のより低い短鎖PolyQタンパク質を複数調製して再度NMR測定を行ったが、同様にQBP1由来のシグナルが経時的に減弱して測定が困難であった。そこで、より凝集速度が遅い融合タンパク質として、具体的にはチオレドキシンではなく、GSTを用いて融合タンパク質を調製し、現在測定を行っている。また、平行して進めている、血液脳関門(BBB)透過性分子の開発に関しては、前年度までに見出された高いBBB透過性を示す分子について、動物モデルで高い脳内移行性が確認されたため、薬物の脳移行性キャリア分子として国内特許出願およびPCT出願を行うとともに、現在、マウスへの末梢投与後の体内動態および脳移行効率の測定を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代表者の異動に伴う若干の時間のロスはあったものの、前年度までに構築した実験系を用いて順調に実験を遂行した。QBP1ベースの凝集阻害化合物の開発は、NMR測定に想定以上に時間を取られているものの、もう一方の脳内移行性キャリア分子の開発は予想以上に進行している。総合的に見て、概ね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間が限られているため、まずは脳内移行性キャリア分子の開発を最優先課題として進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の異動に伴って研究環境の構築に時間がかかり、当初計画していた動物モデルを用いた検討の開始時期が遅くなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度において脳移行性キャリア分子の合成を行うための物品費、および動物モデルを用いた評価に要する試薬・消耗品購入、および技術補佐員の人件費に使用する。
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