2014 Fiscal Year Annual Research Report
核医学診断および治療を目的とするナノ粒子キャリアの生体内制御技術の創成
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26713040
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
牧野 顕 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 助教 (00566226)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 放射線 / ナノ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度研究では、ナノ粒子キャリアの生体内制御システムを構築するために必要となる、両親媒性高分子の合成を進めた。具体的には、疎水性部分に左巻き構造と右巻き構造を有するポリマーを合成し、これらの合成したポリマーを用いて、自己組織化によるナノ粒子化を検討した。また、得られたナノ粒子が外部刺激に応答し、粒子の形態変化を引き起こすか動的光散乱装置を用いて評価した。 またナノ粒子を放射性フッ素と臭素で標識する手法について検討を進め、18Fと77Brで標識したナノ粒子をそれぞれ調製することを達成した。内照射治療用ナノ粒子については、治療核種である77Brで標識したモデル薬剤を内包したナノ粒子を用いて、インビトロでの細胞取込み、細胞障害性評価を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体内動態制御技術を確立するために必要となる両親媒性高分子の合成を進めた。現在のところ、インビボ実験に展開が可能なナノ粒子の創製には至っていないが、次年度以降の検討に必要となる両親媒性ポリマーのライブラリ構築は達成されている。 また内照射治療核種を内包したナノ粒子については、モデル化合物を内包したナノ粒子製剤の創製を達成した。引き続きのインビトロ実験では、放射線による副作用をナノ粒子化によって低減できることを示すことができつつあり、初年度の計画以上に研究が進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
外部刺激応答型ナノ粒子の創製については、より鋭敏に外部刺激に対して応答するナノ粒子を創製する必要があることから、外部刺激応答部位の構造最適化を進める。 診断用ナノ粒子製剤については、ナノ粒子を診断用核種である18Fにて標識する手法が決まったことから、より簡便に、低被ばくでナノ粒子の標識操作ができるようにすることを目標に、自動合成装置での18F標識用薬剤の合成方法確立を検討する。 内照射治療用ナノ粒子製剤については、平成26年度研究で調製したモデル薬剤を内包したナノ粒子を用いて基礎データ取得を進める。これと同時に、これまでに既に報告されている77Brにて標識された内照射治療用薬剤をナノ粒子へ内包する方法について検討を進める。
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Causes of Carryover |
動的光散乱装置が予定額よりも少額で納入することができたこと、放射性77Brを製造するために必要な77Seを平成26年度中に購入しなかったことから残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ポリマー合成に必要となるFT-IR装置を平成27年度中に導入するために使用する。また、放射性核種製造用金属(77Se)もまた、平成27年度中に購入予定である。
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