2016 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト幹細胞から機能的3次元心筋組織の構築法および移植法の開発
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26713044
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
野口 亮 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (70530187)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 再生医療 / 心臓外科 / 心筋再生 / 組織工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、ヒト幹細胞由来心筋細胞の3次元化について、細胞外マトリックスの解析を行った。細胞凝集時に、心血管系の細胞が凝集する際に産生される、細胞外マトリックスの存在有無と、その分布、経時的な変化を、免疫染色を用いて解析した。 血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、繊維芽細胞を前年度までのデータと、立体化技術で円筒形の血管あるいは心室様の形態に構築し、培養液で1-7日間培養し、Day1,3、7日目でホルマリンで固定して、組織学的な評価、解析を行った。 コラーゲンType1,3,4,5,8、vWf,αSMAなどの免疫染色を行った。 対象として、内胸動脈、ラット心筋、下肢静脈などを染色し、その分布とECM発現の違い、類似点を比較検討した。Type1、Type8の発現が本手法による立体構造体では少なく、これらのたんぱく質産生には単純な細胞の凝集のみでは不十分であることが示唆された。 また、血管内皮細胞も投与した細胞の割合に比べ発現がすくなく、不規則であり、Day3、Day7と培養するにつれむしろ減少する傾向にあった。これは、培地に内皮細胞増殖因子を添加していないことが大きな要因の一つではあるが、混合させた、血管平滑筋細胞などがの細胞間相互作用で内皮が増殖することを予想していたため今後の実験で、増殖因子の添加と量の相関を解析する必要がある。 細胞凝集現象のみで立体化した構造体は、ECMを産生しているが、機能的に心筋組織と同等のマトリックスとなるにはまだ不十分で、細胞外的環境やサイトカインの添加、培養期間のさらなる検討、改良が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の野口が、平成28年度に佐賀大学から熊本大学へ異動した。 その直後に熊本大地震が発生し、研究基盤の構築にかなりの時間を要しているため当初の研究計画から大幅におくれている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究計画は遅れているものの、体制は整えられたため、本年度は前年度の研究の遅れを取り戻すべく、ヒトiPS細胞から機能的心筋組織を構築し、動物実験にて生着の有無まで検討しデータを出したい。
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Causes of Carryover |
前年度、細胞を購入する手配をおこなったが、納入が年度内に間に合わない事態になったため来年度に繰り越して、4月に購入する計画とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し分は、新規細胞購入費として、合算し研究を進める。
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Research Products
(1 results)