2016 Fiscal Year Annual Research Report
末梢静脈穿刺時の血管拡張を促す温罨法用具の開発と有効性の検討
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26713056
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
佐々木 新介 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (30611313)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 看護学 / 温罨法 / 静脈穿刺 / 援助用具 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,末梢静脈穿刺時に活用する温罨法用具の開発である.4年計画で行う本研究では,初年度に温罨法用具のニーズを把握するために全国規模での実態調査を実施した.2年目には学術集会,展示会,様々な研修会にも参加することで多くの知見を得た.そして,これらの知見や実態調査で得られたニーズを踏まえた試作品の作成に着手した. 3年目となる平成28年度は,作成した2種類の試作品の加温温度や血流増加,血管拡張効果を検証した.今回作成した2種類の試作品はいずれも安全かつ簡便に使用できる乾式加温であるが,加温素材(保温材)は異なるもの採用した.そのため,実験室内で若年健常人を対象として,実際に試作品の効果を比較検証した.その結果,各試作品の加温温度や保温の持続時間はやや異なっていたが,いずれも一定の血流増加,血管拡張効果が得られることを確認した.2種類の試作品では,保温材の特性により一定の温度を維持することが可能である(すなわち,過度の加熱が生じない)ため低温熱傷などの危険性が低く安全性は高いと考えられた.しかしながら,より血流増加効果が高い温度を明らかにするために,追加実験として湯を用いて加温温度を変えながら血流量の変化を比較検証した.その結果,加温温度としては皮膚表面温度が38℃以上となる場合,血流増加が著しく高まることが示唆された.これらの知見を踏まえて,今後は試作品の改良を考えている.そして,より短時間で安全に皮膚表面温度を上昇させ,血流増加や血管拡張効果が高まるように改良を加えていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である援助用具(試作品)を2種類作成することができた.そして,試作品の効果について若年健常人を対象に検証することができた.今後の改良等,課題についても認識しているため,おおむね順調に進展できていると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は試作品の改良や分析を行い,援助用具として完成を目指していきたい.そして,高齢者や療養者等を対象に温罨法用具の効果や臨床応用への示唆を得たいと考えている.このためには,研究協力者らと密に連携を取り,助言を得ながら計画を進めていく予定である.温罨法用具の素材や材質など工夫すべき課題がいくつか考えられているため,関連学会や展示会にも参加し情報収集や意見交換を行い,改良に努めたい.
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Causes of Carryover |
温罨法用具の効果を検証することは可能であった.しかしながら,さらに血流増加,血管拡張効果を高めるために改良が望ましいと判断した.このため追加の加温実験等を計画したが,備品の調達・実施までに時間を要した.また温熱刺激(温罨法)の実施は,冬季に実施する方が効果及び,被験者に対する配慮としても望ましいため,本年度は繰り越し金が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した経費を活用し試作品の改良,課題解決に必要な備品や消耗品を早期に購入し,検証実験を行う予定である.また,様々な知見や情報収集のために旅費等にも活用していく.研究データが蓄積してきたため学会発表や論文投稿なども行う予定である.
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Research Products
(2 results)