2014 Fiscal Year Research-status Report
顧客の再試行と途中放棄を考慮したコールセンターのモデル化と性能解析
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26730011
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
フン・ドック トゥアン 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (20633465)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 待ち行列 / コールセンター / 途中放棄 / 再試行 / 後処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は主に以下の論文を出版しました. Phung-Duc, T., and Kawanishi, K., “Performance Analysis of Call Centers with Abandonment, Retrial and After-Call Work,” Performance Evaluation, Vol. 80, pp. 43--62, 2014. この論文でコールセンターの客の振る舞いを詳細にモデル化し,解析を行った.まず,大きな特徴は後処理である.後処理とは客とオペレータが通話した後に客が電話を切って客がシステムから離脱するがその客に対してオペレータが何らかの追加サービスを提供することである.例えば,その客との通話の内容に応じて顧客のデータベースを更新すること等に該当する.後処理を行っている間はオペレータが新たな客を対応できないが電話回線が一つ解放される.このため,新しい客はこの回線を占有して待つことが可能である. 一方,待っている客が我慢できる時間制約があり,その時間を超えるとサービスを途中放棄する.途中放棄した客はある時間後に再試行するものとする.又,到着時に回線を占有できない客も再試行する.このシステムにたいして後処理をしている客数,コールセンター内にいる客数と再試行している客数を三変数のマルコフ連鎖を構成する.このマルコフ連鎖を解析して定常分布を求める.更に,サービスを受けた客の待ち時間や放棄した客の待ち時間の分布をそれぞれ導出した.更にこのシステムの安定条件を導出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標は途中放棄と再試行の両方を考慮したモデルの解析であった.実際に当初の目標に加え後処理も考慮することが可能であった.しかも論文の出版ができた.再試行,後処理,途中放棄を全部考慮できたものの,大規模システム,つまり回線の数やオペレータの数が大きいシステムに対しては現在の計算方法は時間がかかる.このため,直接マルコフ連鎖でシステムを記述するのではなく,高速な近似法が求められる.このため,次の目標は大規模システムに対する高速な近似法が挙げられる.
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Strategy for Future Research Activity |
現在はオペレータと電話回線があるシステムにおいて客の振る舞いをモデル化した.しかし,現代のコールセンターのほとんどはIVR(対話型音声機能)が備わっており,一部の電話はIVRのみで対応可能である.IVRで解対応できない電話のみがオペレータと接続する.したがって,IVRを考慮したコールセンターの性能評価が極めて重要である.本研究では次の発展としてIVRがあるコールセンターのモデル化と性能評価を行うことである.しかし,IVRを考慮することによりシステムの複雑さが増しており,4変数のマルコフ連鎖を構成する必要がある.このマルコフ連鎖を直接する解析することが難しいため,シンプルな方法による近似が求められる.そこで,本研究は高速な近似法を使ってこの問題を追及したいと考えている.
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Research Products
(6 results)