2015 Fiscal Year Research-status Report
非線形2次錐計画問題と非線形半正定値計画問題の方法と応用
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26730012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福田 秀美 京都大学, 情報学研究科, 助教 (40726361)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 2次錐計画問題 / 半正定値計画問題 / スラック変数 / 正確な拡張ラグランジュ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,錐最適化問題に対する高速かつ効率的な手法の提案,理論解析,および応用問題の考案である.具体的には,錐最適化問題の特殊な場合と見なすことができる非線形計画問題(NLP),非線形2次錐計画問題(SOCP)及び非線形半正定値計画問題(SDP)に対するアルゴリズムを考える.特に,今回の研究で注目したのは,2乗スラック変数法と正確なペナルティ法と呼ばれる2つの手法である.それらの手法に関する研究から得られた成果として,平成26年度には,SOCPに対する2乗スラック変数法のアルゴリズムの設計が完了し,さらに実用的な応用例を考案した.その結果,2016年2月に国際ジャーナルに論文が受理された.同年度には,さらに2乗スラック変数法を非線形SDPに拡張し,理論的な解析結果を得た.
SDPに対する2乗スラック変数法については,平成27年度にアルゴリズムの設計が完成し,SOCPと同様に対象としたほぼ全ての問題で解が得られることを確認した.また,論文執筆中に得た新たなアイデアをもとに,上記のSOCPに関する論文と異なる内容の理論解析を実施した.具体的には,SOCPでは手法の中で2乗スラック変数が用いられるのに対し,SDPの場合は2乗スラック変数は2次の十分条件を導くための道具として使われるということである.本内容に関する論文執筆は全て完了しており,現在は国際ジャーナルに投稿中である.さらに他の実績として,SOCPに対する微分可能かつ正確なペナルティ関数法に関連する研究がある.これは,本科研費の応募の際には想定していなかった内容である.本研究では,正確なペナルティ関数法と同様のアプローチである,正確な拡張ラグランジュ法と呼ばれる解法に注目する.また,同時に多目的最適化に関する研究も行っている.その一つの成果として,外点ペナルティ法と呼ばれる手法を多目的最適化問題に拡張したアプローチを開発し,2015年12月に国際ジャーナルに論文が受理された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の計画には,2つの目標を掲げていた.1つ目の目標は非線形SDPに対する2乗スラック変数法のアルゴリズム設計及び数値実験である.それらは全て完了し,関連する論文は現在投稿中である.2つ目の目標である非線形SOCP・SDPに対する正確なペナルティ関数のアルゴリズム設計及び高速化は実施していないが,その代わりに正確な拡張ラグランジュ法と呼ばれる手法に注目した.正確な拡張ラグランジュ法は正確なペナルティ関数法と深く関連しているが,非線形SOCP・SDPに対してはまだ研究されていないと思われる.特に,非線形かつ非凸なSOCPに対する手法の研究は十分になされているとは言い難いため,現在,独自に開発を進めている.また,多くの応用問題を取り扱うために,正確な拡張ラグランジュ法の研究が重要だと判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度以降には,非線形SOCPに対する正確な拡張ラグランジュ法に関する理論解析を完了し,アルゴリズムの設計を目指す.また,様々な応用例を用いて,その手法と関連する正確なペナルティ法を比較する.また,SOCPの応用例については,通常の問題だけでなく,特別な性質を持つ問題も考慮し,数値実験が実施しやすい環境を整備する.それと同様に,非線形SDPに対してもテスト問題を考案する.これらの計画以外に,既に実績のある多目的最適化問題,ベクトル最適化問題,ロバスト最適化問題などの研究も同時に行う予定である.
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Causes of Carryover |
平成27年度にはもう一つの海外出張を予定していたが,予定が合わなかったため,参加することができななくなった.よって,予算が余った.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に,国際学会が日本で開催され,その時期に2人の外国人研究者が大学を訪問する予定がある.それらの招へい外国人研究者への謝金として使用する予定.
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