2015 Fiscal Year Research-status Report
構成要素の物理特性を考慮した分散型電力ネットワークのアーキテクチャ設計技術
Project/Area Number |
26730031
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
谷口 一徹 立命館大学, 理工学部, 任期制講師 (40551453)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 分散型電力ネットワーク / モデリング / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、太陽光パネルと蓄電池を持つ需要家が相互に接続された分散型電力ネットワークを効率的に設計するアーキテクチャ設計技術を確立する。分散型電力ネットワークを構成する蓄電池や電力変換器などの物理特性は複雑で、電力システムを回路レベルでモデル化することでそのシミュレーションや最適化を行ってきた。しかし、回路レベルのシミュレーションは非常に時間がかかる。そこで本研究では、対象システムを回路レベルより高位の抽象度で記述し、シミュレーションの高速化と物理特性の考慮という相反する目的を両立させる。 今年度は、分散型電力ネットワークの1要素となる需要家の電力システムを対象とした高位モデルを開発した。開発した高位モデルは離散時間シミュレーションに対応しており、高速なシミュレーションが可能である。また、物理特性を特性関数として含むことで物理特性を考慮したシミュレーションも可能である。開発した高位モデルは、実際に実証実験により得られた実測データと比較して同様の振る舞いを模擬できていることが確認できた。これらの成果は学術論文誌として発表した。 また、分散型電力ネットワークの電力ルーティングアルゴリズムを引き続き開発した。前年度に開発したアルゴリズムに電力融通の方向性を考慮するメカニズムを導入した。これにより、緊急時などに特定の箇所に電力を集中させるなどの機能が実現できる。これらの成果は著名な国際学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は昨年度に得られた成果を元に分散型電力ネットワークの1需要家の高位モデルを開発した。これにより、分散型電力ネットワークの部分的なシミュレーションが可能となる。元々のスケジュールでは初年度に開発予定だったが、モデルの作り込みに時間がかかり、当初の予定より遅れている。 しかし、電力ルーティングアルゴリズムに関する研究を先行して行っており、順調に成果が出ている。 以上より、全体のバランスとしてはおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は最終年度のため、平成27年度に開発した高位モデルを要素として分散型電力ネットワークの高位モデルとして拡張する予定である。また、これまで先行していた電力ルーティングアルゴリズムと組合せ、高位シミュレーション環境を構築する予定である。これらの環境からアーキテクチャ最適化方法を開発する予定である。
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Causes of Carryover |
国内出張を予定していたが、先方の都合で予定がキャンセルになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度の国内出張やアルバイト謝金として使用する。
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