2015 Fiscal Year Research-status Report
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26730033
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| Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
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Principal Investigator |
荒堀 喜貴 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (50613460)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 並行バグ / 記号実行 / トランザクション / 並行制御 / プログラム解析 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は，ソフトウェアによる並行処理のバグを高い精度で効率良く網羅する検査技術の確立を目的とする．この目的を達成するために，逐次処理のバグの高精度かつ高効率な網羅技術として有効性が確認された動的記号実行と呼ばれる検査技術を並行処理のバグを扱えるよう拡張する．既存の動的記号実行では大規模な並行プログラムのバグを効率良く網羅できないという問題があるが，本研究はトランザクション並行制御と類似の方式に基づき動的記号実行を制御する技術により，この問題の解決を図る．
本年度は，実用規模の並行プログラムに対し特定の入力を与えて実行し観測した共有資源アクセス順序から実際に並行バグが起きうる危ういアクセス順序を効率良く計算する手法を検討した．現実の並行プログラムでは，共有資源へのアクセス順序は多様な同期処理によって制御される．この同期処理の誤りが並行処理のバグの原因となる一方で，多様な同期処理の効果を正確に認識できない検査はバグの誤検出を生む．前年度の研究実施により，観測した共有資源アクセス順序から観測とは異なる危うい順序を正確に計算しようとすると，単純な方式では多大な計算時間を要することが判明していた．本年度はこの難点を実効的に解消する方式として，共有資源アクセスと多様な同期処理の間の依存関係を正確かつ高速に計算する手法を検討し形式化した．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究計画は，実用規模の並行プログラムに対し，（1）共有資源アクセスの観測順序とは異なる危うい順序の正確な計算を効率化することと（2）危うい順序での共有資源アクセスを高速に再演する方式を実現することであった．このうち，（1）については本年度の研究実施により概ね達成できたが，（2）については（1）の結果を踏まえた方式の検討と初期実装の段階に留まっており，更なる検査精度の向上法や検査時間の短縮法を含め，残りの研究計画の実現は次年度に持ち越しとなった．このため，研究の進捗状況はやや遅れている．
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究は今後，次の計画で進める．まず，共有資源アクセスの観測順序から正確に計算した危うい順序をトランザクション並行制御の巻戻しの技術に基づき高速に再演する方式を実現する．次に，実現した再演方式に基づく動的記号実行系を現実の並行プログラムに適用し，競合の検出精度・効率の向上効果を評価する．最後に，競合をベースにして検出可能な原始性違反等の並行バグの検出機構を上述の動的記号実行系に実現し，その精度と効率を評価する．
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| Causes of Carryover |
本年度に予定していたトランザクション並行制御の巻戻しに基づく並行バグ再演機構の実現と評価が次年度に持ち越しとなり，そのための実験環境の整備および成果の発表予定が次年度に持ち越しとなったため．
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は，トランザクション並行制御の巻戻しに基づく再演機構を備えた動的記号実行系の実現および実験環境の整備のための費用と，研究全体の成果発表のための諸費用に充てる．
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