2016 Fiscal Year Research-status Report
ペトリネットを用いたモデルベースドミューテーションテスト法の開発と評価
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26730038
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
高木 智彦 香川大学, 工学部, 講師 (70509124)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ソフトウェア工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
並行動作を含むソフトウェアは広大な状態空間や複雑な振舞いを含むため、その信頼性を確保するための体系的なテスト手法の確立が必要である。そこで本研究では、効果的なテストケースを作成するための一手法として、ペトリネットを用いたモデルベースドミューテーションテスト法を開発している。本手法では、まず、テスト対象ソフトウェアの期待される振舞いを表す形式的モデルとしてペトリネットを作成し、想定される故障(潜在する可能性の高い故障や、顕在化すると信頼性に深刻な影響を与える可能性のある故障など)を挿入する。故障を挿入したペトリネットをミュータントという。そして、このミュータントに基づいて、想定される故障を効果的に検出するためのテストケースを生成したり、テストケースの品質を評価したりする。 本手法では、ペトリネットがテスト対象ソフトウェアの振舞いを精密に表現できることが重要であるので、VDM(Vienna development method)において使用される仕様記述言語をペトリネットに導入することによって表現力を高める方法を検討した。また、テストケースの品質を評価する際にはミューテーションスコアが利用されるが、本研究では、より精密な評価を可能とするために、ソフトウェアメトリクスに基づいて重み付けされたペトリネットによって導出されるミューテーションスコア(拡張ミューテーションスコア)を提案した。さらに、モデル上でテストケースの実行経路を効果的に把握するための、拡張された被覆グラフを提案した。本手法の適用にはツールによる支援が必要なので、本手法のための基本的な機能を実装したツールを開発した。これらの成果について、国際会議や国内学会において発表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペトリネットへの仕様記述言語の導入、ミューテーションスコアや被覆グラフの拡張、提案手法の支援ツールの開発などを行い、それらの成果を発表することができたため。また、ペトリネットへの仕様記述言語の導入という新たな着想に基づき、モデルベースドミューテーションテスト法のさらなる拡張について検討を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
仕様記述言語の導入によるモデルベースドミューテーションテスト法の拡張について検討し、その拡張された手法を支援する機能をツールとして実装する。そして、例題に対して適用することで有効性の評価を行い、問題点が見つかった場合はそれを改善する。
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Causes of Carryover |
研究成果を発表するために参加した国際会議がいずれも国内開催であり、さらに、1つの会議で複数の発表を行ったことにより、旅費などを節約することができたため。また、研究成果の一部を次年度に発表することとしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
得られた研究成果の発表を行うため、学会参加費や旅費、論文掲載料などとして使用する。
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Research Products
(4 results)