2014 Fiscal Year Research-status Report
通信被害地域における被災者情報収集・共有・拡散手法に関する研究
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26730050
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
樫原 茂 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (60380739)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 端末間通信 / 情報収取 / 情報共有 / 情報拡散 / 無線LAN / クラスタ / 災害 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに開発した SOSCastアプリケーションをベースに人口集中地域においても救助要請メッセージを拡散できるように機能拡張の提案を行った。初期の研究では、要救助者が送信する救助要請メッセージを端末間通信により救助者まで配送することに着目していたが、人口集中地域における迅速な情報収集及び要救助者の端末のバッテリ消費削減のため、要救助者間で連携した通信方式の提案、評価を行った。これまでのアプローチとして、通信回数の削減によりバッテリ消費の削減を試みたが、送信によるバッテリ消費量は小さいため、効果は限定的であった。そこで、平成26年度は、無線LANデバイスのオンオフ制御によるバッテリ消費削減と効率的な情報共有を実現するための手法を提案した。要救助者端末の無線LANをオフにした場合、端末のバッテリ消費量は削減されるが、通信できないため救助要請メッセージを転送できないというトレードオフが生じる。この問題を解決するために、近接クラスタと代表者クラスタの2段階のクラスタを構築した救助要請メッセージの収集・共有・拡散を行った。近接クラスタでは、近距離に存在する端末間でクラスタを作成し、その中で決定した代表者以外は無線LANをオフにする。また、各近距離クラスタの代表者間でクラスタを作成(代表者クラスタ)することで、救助要請メッセージを一度に拡散することが可能となる。シミュレーション結果より、既存方式と比べて、情報共有効率を低下させることなく、端末の生存時間を20%から30%向上可能であることを示した。また、本研究により、災害時においても、端末間通信による救助要請メッセージの収集・共有・拡散の実現可能性が高まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に計画した「要救助者群において、大幅にバッテリ消費を削減した情報共有手法」は目的どおり、バテリー消費を削減することができ、国内研究会において発表を行うことができた。現在、ジャーナル化に向けて執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は「ラジコンヘリコプタを用いた被災者情報自動収集手法」について取り組む。いわゆるドローンを用いるため飛行の安全には十分注意する。また、ドローンの安全な運用方法に対する情報は少ないため、研究を通して安全運用に対する取り組みも行う。
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Remarks |
(1) 現在取り組んでいる研究内容が高知新聞の2015年3月25日朝刊に掲載されました。
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