2014 Fiscal Year Research-status Report
ワイヤレスネットワークを活用した局所的な移動推定に関する研究
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26730052
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
小川 将克 上智大学, 理工学部, 准教授 (90624411)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 混雑度推定 / 無線LAN |
Outline of Annual Research Achievements |
無線LANが搭載されたスマートフォンの急速な普及に伴い,公衆エリアにおいて無線LANが利用可能な公衆無線LANエリアが拡大し,自宅外で無線LANを利用する機会が増加している.スマートフォンなどの無線LAN端末は,無線LANアクセスポイントを検出するために制御パケット(プローブリクエスト)を送信する.プローブリクエストの送信間隔は,スマートフォンベンダーやOSによって異なると考えれる. 【実施項目①】ユーザが利用しているスマートフォンにおいて,操作状態と画面OFF状態の2つの状態でのプローブリクエストの送信間隔をベンダーやOSごとに分析した.分析の結果,特定のOSについては,送信間隔の規則性があることが明らかになった. 【実施項目②】実施項目①で得られた送信間隔の特徴を利用できる環境は,一定期間,無線LAN端末が閉空間に留まる必要があるため,駅ホームでの人の混雑に着目した.プローブリクエストに含まれる無線LAN端末識別子(MACアドレス)の個数が観測地点付近に存在する人数に対応するものとして,列車の到着前後で駅ホームに存在する人数をプローブリクエストにより算出した結果,目視での観測結果とほぼ一致することが確認された. 【実施項目③】列車内での人の混雑に着目した.実施項目②とは異なり,公衆無線LANの無線LANアクセスポイントが列車内にも設置される傾向であることから,無線LANアクセスポイントを列車内に設置した評価についても実施した.事前に駅区間で,プローブリクエストから得られた乗客数と無線LANアクセスポイントのビーコンの受信強度,目視により混雑度を事前に評価した上で,機械学習を利用して混雑度の分類を行った.混雑度の推定結果としては,無線LAN端末が評価時間内にプローブリクエストを送信しない可能性があるために,無線LANアクセスポイントからのビーコンによる推定精度が高いことを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
無線LAN端末の制御パケット(プローブリクエスト)を用いた推定精度が低い.これは,スマートフォンの進展が速いために,無線LAN端末の制御パケット(プローブリクエスト)の送信に関わる統計的な分析が十分でないことが原因の一つとして考えられる. 研究業績としては,国際会議1件(NCSP15,2015年3月),国内学会1件(電子情報通信学会総合大会,2015年3月)であり,このうち,国際会議においてStudent Paper Awardを受賞した.また現在,ジャーナル論文1件が投稿中である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の残課題である無線LAN端末の動作分析を実施する.さらに,無線LAN端末のプローブリクエストの送信間隔が長い場合に無線LAN端末の存在を検出できない.このような状況において,プローブリクエストを利用した人の混雑度推定が可能な環境を検討し,推定アルゴリズムの確立を目指す.
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Causes of Carryover |
スマートフォンの進展が早く,新製品が次々を発売されている.公衆エリアで無線LAN端末の分析を実施するために,ユーザ数が多いスマートフォンを購入する必要があるが,在庫不足により入手困難であった.また,平成26年度に新たに研究を立ち上げたために,発表件数が伸び悩み,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は,実験機材(スマートフォンなど)の購入,ならびに国内外での研究調査や研究発表を推進する.
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