2014 Fiscal Year Research-status Report
協調メカニズムデザインに基づく安心でロバストな災害情報共有システム
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26730054
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
高橋 晶子 仙台高等専門学校, 専攻科, 准教授 (10537492)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自動交渉 / エージェント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,大規模災害時に大量に発生する被災者の安否情報やライフライン等の情報(災害時情報)を対象とし,被災者や情報を必要とする人の個人情報やプライバシ情報を状況に応じて保護しつつ,利用者の要求に応じて災害情報を動的に提供する,災害情報共有手法を確立することである.具体的には,利用者の個人情報やプライバシ情報の開示は最低限に抑制しつつ,利用者の要求に基づいて動的かつ安定的に災害時情報を提供するシステム,すなわち安心でロバストな災害情報共有システムの実現を目指して研究を行っている. 平成26年度は,個人情報アウェアかつ災害時情報アウェアな災害時情報交渉モデルの構成を行った.利用者が要求する災害時情報の量と質を充足しつつ,利用者の個人情報保護も考慮して災害時情報提供を行うための指針として,個人情報の開示レベルとそれに対する災害時情報の提供レベルとのトレードオフに関して,合意形成に至るための交渉モデルを構成している.具体的には,大量の情報であふれる大規模災害時に,利用者の個人情報をどこまで開示すると,それに応じてどこまで災害情報を提供するかを合理的に交渉によって決定するための災害時情報交渉モデルを構成した. 具体的な研究項目としては,個人情報アウェアかつ災害時情報アウェアなシステムを実現するために,以下の3つを推進した. (1) 被災者や利用者それぞれの個人情報として扱う情報の種類とそれを管理するための個人情報モデルの構成を行った.(2) ライフラインや被害状況などの災害時情報として扱う情報とそれを管理するための災害時情報共有モデルの構成を行った.(3) 利用者が享受する個人情報開示の程度とそれに応じた提供する災害時情報の程度を二者間での交渉によって決定するための災害時情報交渉モデルの構成を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にしたがって研究を遂行したため,大幅な遅れは発生することなく研究を遂行することができた. 平成26年度に実施予定であった,(1) 被災者や利用者それぞれの個人情報として扱う情報の種類とそれを管理するための個人情報モデルの構成については,本研究で扱う個人を特定する要素を精査し,交渉モデルに適用できるように構成した. (2) ライフラインや被害状況などの災害時情報として扱う情報とそれを管理するための災害時情報共有モデルの構成については,災害時情報の収集方法,評価法を検討した. (3) 利用者が享受する個人情報開示の程度とそれに応じた提供する災害時情報の程度を二者間での交渉によって決定するための災害時情報交渉モデルについては,ゲーム理論に基づいて交渉を実現する手法を実現した. 上記のように,計画した項目を全て実施したことから,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,平成26年度の研究の成果に基づき,個人情報エージェントと災害時情報エージェントによるプライバシ指向(個人情報やプライバシを考慮)かつクライシス指向(災害時利用を考慮)のエージェントフレームワークの構成を行う. プライバシ指向かつクライシス指向の災害情報共有システムを実現するために,平成26年度に構成した災害時情報交渉モデルに基づいて交渉を行うことが可能なエージェントフレームワークを実現する.具体的には,個人情報エージェントと災害時情報エージェントを構成し,平成26年度に構成したモデルに基づき最小限の個人情報開示で最大限の災害情報を提供するエージェントフレームワークを構成する.本研究では,個人情報エージェントが利用者それぞれの代理となり利用者自身の個人情報開示の程度に応じて,どの程度災害時情報を得ることができるかを,災害時情報エージェントとの自律的交渉によって決定する手法を構成して研究を推進する. 具体的には,プライバシ指向かつクライシス指向のエージェントフレームワークを実現するために,以下の2つのエージェント,および,エージェントフレームワークを構成する. (1) 個人情報管理モデルに基づいた個人情報エージェントの構成を行う. (2) 災害時情報管理モデルに基づいた災害時情報エージェントの構成を行う. (3) 上記2つのエージェントを用いた,災害時情報交渉モデルに基づいたエージェント間交渉を行うエージェントフレームワークの構成を行う. 以上の通り,申請時の計画に従って,研究を推進する予定である.
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Causes of Carryover |
英語原稿の校正料金が,当初予定していた見積額よりも安く済んだため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の英語論文校正料として使用する.
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