2014 Fiscal Year Research-status Report
ホログラフィックメモリシステムにおける全動作シミュレータの高速化および性能評価
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26730063
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
舟越 久敏 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (50413711)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ホログラフィックメモリ / GPGPU / ビーム伝搬法 / 体積ホログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,電子的な信号処理から光による記録再生までの全過程を含めたホログラフィックメモリシステム用全動作シミュレータの高速化を目指し,GPUによる汎用計算(GPGPU)を全動作シミュレータの解析エンジンに適用し,低消費電力で廉価な計算環境下でも高速に実行可能なシミュレータの開発を目的としている.
本年度は,シミュレータの解析エンジンを改良し,2つのGPUユニットを用いた並列実行により全動作シミュレータの計算時間を更に短縮することを目標とし,シミュレーション全体を通して最も計算量の多い光学的記録過程における計算の短縮を試みた.具体的には,光波の伝搬方向の微小ステップごとに実行される高速フーリエ変換ビーム伝搬法による記録媒質内の光波伝搬計算と,光波の空間分布に応じた記録媒質の屈折率変調の計算は,共にGPUを利用している.これまでの計算プロセスでは,光波伝搬計算,屈折率変調の計算と順次行い,次の微小ステップの計算に進むが,次の微小ステップの光波伝搬計算では,1つ前の微小ステップで計算した屈折率変調の値は利用しない.そこで,光学的記録過程における記録媒質内の光波伝搬と,それに伴う屈折率変調の更新の計算は並列的に実行可能であることに着目し, 2つのGPUユニットを用いて光波伝搬と屈折率変調更新の計算を並列実行できるようプログラムを改良した.次に,その効果について検証するために,透過型コリニアホログラフィックメモリの光学系を仮定し,1ページデータの記録過程を計算するのに要する時間を測定した結果,計算速度の更なる短縮に成功し,本研究で実施した改良の効果を確認することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光学的記録過程における光波伝搬と屈折率変調更新の並列実行が可能となるべく解析エンジンを改良し,計算時間を短縮させることに成功した.また,記録過程以外の光学的過程の計算法を見直したため,更なる計算時間の短縮につながったと考える.しかしながら,符号化処理など電子的処理過程の計算法についての高速化までは着手できなかったため,研究はおおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従い,記録再生実験によりシフト選択特性を測定し,同一条件とした場合のシミュレータの解析結果と比較することにより,全動作シミュレータによる計算結果の妥当性について評価する予定である.
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Causes of Carryover |
学会参加と研究打ち合わせを同時期に設定したため,旅費の支出が抑えられた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
光学実験で使用する光学素子の購入を計画している.
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Research Products
(1 results)