2015 Fiscal Year Research-status Report
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26730099
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
藤ノ木 健介 東海大学, 理学部, 講師 (80613629)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ウェーブレット / リフティングスキーム / フィルタ理論 / 平均補間 / 画像復元 / 逆問題 / 格子 / 球面 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は以下の4項目について研究を行った.平成27年度前半は,(1)昨年度構成した2次元格子上の平均補間法に基づく非分離型2次元双直交ウェーブレット基底の性質についてさらに研究を進め,基底関数の数理的側面について考察を行った.(2)画像の非線形近似と逆問題の一種である画像復元問題へと応用し,計算機実験により従来法に対する本研究の優位性と妥当性を確認した.非線形近似では基底関数の台と正則性のトレードオフの観点からいくつかのケースについて評価を行った.画像復元においては,観測過程で得られたノイズが混入したボケ画像から鮮明な画像を復元する問題を,1ノルム正則化項を導入した最小二乗推定による最適化問題として捉え,反復法に基づいて縮退を行うアルゴリズムにより検討を行った.その結果,提案手法では劣化の程度が激しい画像の復元時に生じるブロックノイズを低減できることを確認した. 平成27年度後半は,(3)これまでに得た研究成果の一部を拡張し,球面上に展開した.多面体を球面に投影して得た領域に定義される区分的定数関数が,球面上の正規直交基底になる条件について調査を行った.正規直交基底,あるいは双直交基底になるためには基底関数を構成する正則行列のパラメータ設定に依存することがわかり,最大値ノルム等の種々のノルムを尺度に基底関数を構成した. (4) (3)で得られた基底関数を球面データ解析に応用し,非線形近似における性能を比較検討した.その結果,直交の場合の方が双直交の場合に比べてより優れている傾向があることを確認した.また,実際の近似誤差を最小にするような正則行列のパラメータを数値実験により算出し,新たな球面上の正規直交基底を構成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画にあった研究項目を全て達成することができ,加えて研究実績の(1)は昨年度得た新たな研究の方向性であり,結果的に当初の研究計画全体を推進する上で重要な発見であったため.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の基本方針に沿って研究を進める.基礎理論を更に充実させ,応用面での検討も行っていく.特に来年度は最終年度のため,成果を積極的に国内外の研究集会で発表しながら論文にまとめる.
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Causes of Carryover |
予定していた出張計画が変更になり,他の予算を使用したため.その差額を物品購入に充てることができたが,研究費をより効率的に使用するために一部を次年度に繰り越すことにした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は当初の予定額と次年度使用額を合わせて,研究目標達成とその成果発表のために効率的に研究費を使用する.
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