2015 Fiscal Year Research-status Report
正確性の担保を手動で行うリアルタイム自動翻訳技術の研究
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26730105
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
福島 拓 静岡大学, 工学部, 助教 (40714829)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多言語間コミュニケーション支援 / ヒューマンコンピュテーション / 多言語用例対訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の具体的な研究成果は下記の4点にまとめられる. 1.音声入力を用いた円滑な用例対訳検索を目的とした,拡張コーパスを用いた用例対訳検索技術の構築を行った.本技術で使用する拡張コーパスは,従来の用例対訳コーパスに含まれる文を否定文や疑問文に変換して追加したものである.実験より,拡張コーパスを用いることで,従来手法よりも高い適合率の検索結果の提示を可能とした.また,正解が存在しない文を検索した場合,利用者に提示する検索結果数を減少可能であることを明らかにした. 2.医療従事者と外国人患者の間の多言語間対話支援を目的とした,用例対訳を活用した多言語対話シート作成システムの提案を行った.本システムで使用する対話シートは,医療従事者から外国人患者に対して伝えたいテキスト群をあらかじめ登録したものである.実験より,対話シートのカスタマイズ機能により,利用者間での意図の伝達の正確性向上効果,対話時間の削減効果がそれぞれ確認された.また,医療従事者自身が必要な用例を登録することによる用例収集の可能性が示された. 3.質問回答対の増加を目的とした,クラウドソーシング上の単言語話者による用例対訳作成手法の構築を行った.本技術では,機械翻訳を用いて対象言語に翻訳の上,再度翻訳元言語へ翻訳する折り返し翻訳と呼ばれる技術を活用し,単言語話者のみによる用例対訳および質問回答対の作成を行っている.実験より,従来手法よりも適切な用例対訳および質問応答対が,クラウドソーシング上の単言語話者によって作成できることを示した. 4.質問回答対および類似文を可視化することで,新たな質問回答対および類似文の収集を行う手法を提案した.実験より,散布図を基礎とした可視化により,質問回答対および類似文を従来手法より多く収集できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では,多言語用例対訳,類似文,質問回答対,音声を用いることで,正確性の担保を手動で行うリアルタイム自動翻訳技術の確立を目指している.本年度は,前年度からの継続である類似文と質問回答対を用いた研究開発と,音声を用いた研究開発,医療現場に導入可能な多言語間対話支援システムの研究開発を予定していた. 本年度では,上記の要素技術を用いた研究開発に取り組んでいる.また,多言語間対話支援システムの研究開発を行った.研究実績の概要でも述べたとおり,研究成果もあげていることから当初の目的を達成している.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに行った要素技術および多言語間対話支援システムの研究成果を踏まえて改良を行ったシステムを用いて,医療関係者による試用実験を行う.このことにより,本研究の実環境での適用可能性について調査を行う.また,本研究全体の成果のまとめ作業を行う.
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Causes of Carryover |
予算計画を見直し,本年度購入のサーバ機器で運用予定の技術の一部を既存サーバ上での運用に変更した.このため,本年度に購入を行ったサーバ機器のスペックを下げたことにより,予定代金の一部が次年度使用額として生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の残額は,次年度で必要となる機器の購入代の一部にあてる.
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