2014 Fiscal Year Research-status Report
記号間距離を同時に最適化する差分進化プログラミング手法の開発
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26730131
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
串田 淳一 広島市立大学, 情報科学研究科, 講師 (10558597)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Differential Evolution / Genetic Programming / 進化的計算 / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,連続空間を対象とする最適化手法Differential evolution(DE)を構造的表現を扱えるように拡張した,新たな木構造最適化手法である差分進化プログラミングの開発を目的とする.
平成26年度はDEのアルゴリズムを拡張し,グラフ表現を扱えるように拡張したTree Based DEを提案した.提案手法では,各個体は木構造のノードに格納される関数記号に対応するシンボルベクトルを遺伝子として持ち,差分操作と交叉により木構造最適化を行う.また,関数記号の近傍構造と個体の遺伝子を相互に最適化するための進化モデルとして,近傍構造を個体の遺伝子に組み込み,木構造と共に進化させるアルゴリズムを構築した.各個体はシンボルベクトルに加え,使用する関数記号の近傍構造を決定するための距離行列を持つ.各個体は自身の距離行列をもとに無向グラフ上で記号間の距離を定義し,その距離を利用して差分ベクトルを生成し突然変異を行うことが可能となる.
代表的なベンチマーク問題である関数同定問題およびパリティ問題を対象とし,提案したTree Based DEの探索性能を検証した.使用される関数記号が異なる両問題に対し,通常のGenetic Programming(GP)と比べ,少ない個体数で安定した探索性能が得られることを示した.そのため,記号間の距離は特徴の異なる両問題に対して最適化され,離散変数空間での差分操作が有効に機能していると考えられる.今後は,冗長なノードを抑えるための工夫や距離行列に対する遺伝操作について検討する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度では,無向グラフによる記号間の近傍構造の決定方法を考案した.また,DEで記号間距離と木構造を同時に最適化する方法として,近傍構造を個体の遺伝子に組み込み,両者を同時に進化させるモデルを構築した.構築した木構造最適化手法の探索性能の検証として,関数同定問題およびパリティ問題を対象としてGPとの比較を行い有効性を示した.これらの成果は国際会議で発表している.以上のことから順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,新たな進化モデルとして,記号の近傍構造を遺伝子に持つ集団と木構造の個体集団を互いに評価するモデル(共進化型モデル)や,近傍構造と個体集団のペアを複数用意し,それらを並列に進化させるモデル(島モデル型)などの構築を予定している.また,使用される関数記号の種類や数が異なる場合でも,有用な木構造を獲得できるか検証するために,マルチエージェントシステムにおけるエージェント学習や分類問題などを対象とした実験を行う予定である.
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Causes of Carryover |
当初の予定より,消耗品,図書の購入額を抑えることができたため,次年度使用額が生じた.これらは次年度で同様の使途において計画的に執行する予定である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
概ね当初の計画通りであり,主に国際会議への参加旅費,研究成果の論文投稿に要する費用に充てる.旅費については現時点で中国にて開催の国際会議における口頭発表を2件予定している.
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Research Products
(5 results)