2014 Fiscal Year Research-status Report
電力変換回路に生じる一部不安定な高周波振動の伝達メカニズム
Project/Area Number |
26730134
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
麻原 寛之 福岡大学, 工学部, 助教 (50709615)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | dc/dcコンバータ / dc/acインバータ / 安定性解析 / 離散写像 / 分岐現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
電力変換回路に生じる電流・電圧波形には、一部分のみが不規則な挙動を呈する高周波振動(一部不安定な高周波振動)が内在している。電力変換回路の定性的性質を理解するうえで、一部不安定な高周波振動の発生・伝達メカニズムを解明することは重要であると考えられるが、詳細な検討は不十分である。そこで本年度は、簡素な回路モデルに生じる一部不安定な高周波振動の発生・伝達メカニズムを調査した。具体的には、下記回路モデルを解析した。 (a) dc/dcコンバータのスイッチング動作を模擬した回路モデル (b) dc/acインバータ (a)および(b)の回路は、回路方程式が1次元で記述される簡素な回路である。それ故、厳密解を用いた解析が可能であり、各々の回路に生じる一部不安定な高周波振動の発生メカニズムを詳細に解析することができた。解析手順として、まず厳密解を用いて離散写像を定義した。次に、離散写像の初期値微分を計算し、回路の安定性を解析した。最後に、参照電流や電源電圧等の回路パラメータを変化させた際の安定性解析結果に注目し、一部不安定な高周波振動の発生・伝達メカニズムを数学的に解明した。回路パラメータの変化に伴い一部不安定な高周波振動が伝播し、回路の挙動が不安定化する様子を確認した。同様の現象は、他の電力変換回路においても観測されると予想できる。上記を確認するため、回路方程式が2次元以上で記述される電力変換回路に生じる一部不安定な高周波振動の発生・伝達メカニズムを調査することは重要であると考えられる。なお、得られた研究成果の一部は、国内・国際会議において発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した本年度の研究目的は、一部不安定な高周波振動の伝達メカニズムを調査することであった。これに基づき、(a)dc/dcコンバータのスイッチング動作を模擬した回路モデルおよび(b)dc/acインバータを解析した。厳密解を用いて、(a)および(b)の回路に生じる一部不安定な高周波振動の発生・伝達メカニズムを解析することができたため、本年度の研究目的はおおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
一部不安定な高周波振動は、回路方程式が2次元以上で記述される電力変換回路においても発生する。しかし、このクラスの回路において、一部不安定な高周波振動の伝達メカニズムの調査は不足している。そこで、H27年度は回路方程式が3次元で記述されるdc/acインバータに注目し、回路に生じる一部不安定な高周波振動の伝達メカニズムを調査する。また、国内・国際会議および学術論文誌を介して、H26年度に得られた研究成果を発信する予定である。
|
Causes of Carryover |
所属機関がH26年度に購入予定であったパワエレ用デジタル制御システム一式を所有していたため、その費用を次年度の研究成果発表費等にあてることにした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し費用は、1.国内および国際会議への参加費、2.学術論文誌への掲載費、3.英文校正、4.実験器具へあてる予定である。
|
Research Products
(7 results)