2015 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質における埋もれた極性残基の機能評価のためのデータベース構築
Project/Area Number |
26730148
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
城田 松之 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00549462)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 蛋白質立体構造 / 水素結合 / データベース / 進化的保存 / 二次構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は蛋白質において立体構造内部に埋もれた極性残基の機能を明らかにするために,Protein Data Bank(PDB)からこれらの残基を網羅的に抽出し,解析をすることを目指した.初年度にはPDBに含まれる蛋白質立体構造から非冗長なデータセットを作成し,その中で埋もれた極性残基を抽出した.最終年度には,初年度に作成したデータセットについて解析を進め,タンパク質の立体構造の安定性に寄与する因子の解明を目指した.具体的には埋もれタッ極性残基の構造パターンの分類と,進化的保存度の解析を行った. 構造パターンの分類においては側鎖の極性の官能基が蛋白質分子内水素結合をどのように形成しているかを検討した.その結果,埋もれた極性残基は主にタンパク質の二次構造以外のループ構造の安定化に重要であることがわかった.また,ヘリックスの側鎖間,シートの側鎖間も極性残基の埋もれにおいて頻繁に現れるパターンであった. 次に,各タンパク質についてマルチプル配列アラインメントを作成し,埋もれた残基がどの程度自身の残基として保存されているかを検討した.その結果,埋もれた極性残基の保存度を埋もれた疎水性残基の保存度と比較したところ,埋もれた状況では極性残基の方がより保存されることがわかった. さらに本研究では,埋もれた極性残基が疎水性残基に置換されているケースを検索した.その結果,埋もれた極性残基が蛋白質の他の部分と側鎖間の水素結合を形成している場合には,当該残基が非極性の者に置換された場合には,それと水素結合をしている極性残基も非極性のものに置換されるケースが多いことがわかった. 以上の結果から,蛋白質立体構造の内部で極性残基がどのような構造を取っているのか,進化的にどのように保存されているかについての体系的な知識が得られた.本研究成果は蛋白質の立体構造構築原理の理解を押し進めるものであると考えている.
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