2015 Fiscal Year Research-status Report
アミノ酸残基間ネットワーク比較によるタンパク質構造比較解析
Project/Area Number |
26730151
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
寺師 玄記 北里大学, 薬学部, 講師 (40383658)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | タンパク質立体構造 / 構造アライメント / アミノ酸残基 / 残基幹ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は三次元のタンパク質構造情報をアミノ酸残基間におけるネットワークと捉え、タンパク質間の構造類似性の検出方法を新たに提唱するものである。タンパク質構造は本質的に柔軟な構造を持つが、タンパク質の構造が変化してもアミノ酸残基間のネットワークの多くが保持されるという性質に着目した研究である。この研究により三次元座標の比較では検出できない構造類似性を新たに検出できるようになると期待される。 本研究代表者は平成27年度における研究計画の下、以下の内容を達成した。1.パラメーター最適化による精度の検証と計算速度の改善:平成26年度より行われていたプログラムの最適化計算を行った。約25万データにおける精度の検証も行った。2.研究成果の論文発表:欧文雑誌PlosOneで本研究の内容を発表した。3.本研究の理論を実装したコンピュータプログラムの公開:北里大学のWebサイトより本研究で開発されたコンピュータープログラムを公開した。4.平成27年度における研究成果の学会等における発表:国際学会GLBIO2015においてポスター発表を行った。また、発表した論文がIndiana Japan Chamberより2015 Outstanding Research Paper Awardを受賞し、受賞講演を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究実施計画では、1.理論の実装とプログラミング、2.比較・検証、の2つを行う予定であった。 この計画に従い、大規模な並列計算によるパラメーターの最適化、比較検討を行った。前年度平成26年に行われたアルゴリズムの改良により、計算速度の大幅な改善が見られた。その結果、当初予定していたデータ数の最大2.5倍(25万データ)の計算を実行した。同時に、従来法との比較を行い、その精度検証を実施した。比較検証のために用いた従来法はDali, TMalign, FATCAT, HHalignの4つである。当初の計画よりも比較検証に用いる従来手法の数を増やして検証を行った。 本年度ではさらに平成27年度に得られた検証結果と開発された手法について論文執筆、投稿、公開を行うことができた。これは当初平成28年度に行われる予定であったため、当初の計画以上の研究が進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度である平成28年度には、本研究の成果を学会発表などにより広く公開する予定である。 さらに、本研究で開発されたコンピュータープログラムの改良を行い、さらなる計算効率の改善を図る予定である。 また、本研究の手法を実際のタンパク質構造解析に適用し、適用例について、学会等で発表する予定である。
|
Causes of Carryover |
研究計画当初、平成27年度に学会発表の旅費として10万円を使用する予定であった。しかしながら、当年度の前半に行われた国際学会GLBIO2015の参加には旅費が発生せず、当年度後半には論文執筆・投稿等を行っており予定していた学会への参加をすることができなかった。そのため、旅費の10万円に相当する額が次年度使用額として発生した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に使用する予定であった旅費相当額については、平成28年度に学会に参加するための旅費とする予定である。また、当初予定したよりも大幅にデータ量が増えたため、データ保存用のハードディスクを追加購入する予定である。
|