2014 Fiscal Year Research-status Report
基幹交通と有機的に結合した末端型デマンドバスモデルの開発及びシミュレーション評価
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26730160
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
赤嶺 有平 琉球大学, 工学部, 助教 (00433095)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 交通システム / 交通シミュレーション / デマンドバス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,軌道交通,基幹バス及びデマンドバスを有機的に結合した交通システムモデルを開発し,シミュレーション実験によりその有効性を明らかにする事である.デマンドバスは,Door-to-Doorの移動を安価に提供可能な交通システムとして注目されており複数の地域において実際に運行されている.しかしながら,現状のデマンドバスは旅行時間の短縮よりもDoor-to-Doorの実現に重点が置かれており,利用目的として時間制約の緩い移動を想定していると考えられる.そのため,利用者数や提供範囲が比較的小規模な地域に限られている.本研究では,通勤通学目的の移動を対象とし,公共交通と交通需要のバランスが崩れ交通渋滞が問題となっている中規模都市圏における運行を想定した新しい交通システムの提案を行った.提案システムは,デマンドバスにより住宅地や商業地の利用者を一地点に集約し大型基幹バスに乗り換えて移動する.乗り換え時の所要時間や心理抵抗を低減するため基幹バスの出発時刻とデマンドバスの到着時刻を同期させる.基幹バスは,バスレーンや信号制御による高速な移動が想定でき,軌道交通との連携も可能である. 提案手法を評価するため,沖縄県中南部地域におけるパーソントリップ調査報告書より自家用車,路線バスの交通需要データを作成し,自家用車需要による交通負荷を考慮した路線の所要時間を推定した.さらに,提案交通システム,路線バス,既存のデマンドバスの3モデルを作成し,推定した路線所要時間に基づき各交通システムの旅行時間を推定した.その結果,現時点で実装したアルゴリズムによる経路計画では,路線バスと同程度の旅行時間で移動可能と推定された.また,対象とした地域及び交通需要に対して既存のデマンドバスの経路計画問題(これはNP困難な問題である)を実用的な時間内に解く事は出来なかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,提案手法の経路計画を行うための最適なアルゴリズムを開発するため,様々なアルゴリズムの提案,評価を行った.その際,複数の大学院生に評価実験用のシミュレータの開発及び評価実験を担当させることで効率的に実験を進めることができた.開発,評価を行ったアルゴリズムは以下の通りである. 1.放射状クラスタリングによる車両の割当:提案手法は,利用者を乗り継ぎ地点に集約するため,最適な経路は乗継ぎ地点から放射状に伸びる可能性が高い.これは一般的なデマンドバスの経路とは大きく異なる点であり,計算時間を大幅に短縮できる可能性がある. 2.上記1+短距離の歩行:1の手法では,利用者とバス台数が少ない場合経路が蛇行し旅行時間が増大する問題がある.そこで,利用者にごく短距離だけ歩いてもらうことを想定したアルゴリズムを試した. 3.階層的ADARTW:DARPの準最適解を高速に求めるアルゴリズムであるADARTWを階層的に組み合わせたアルゴリズムを開発した.現時点では,本アルゴリズムが最も提案手法の解法として適していると考えている. 当初計画では,複数のアルゴリズムを開発し評価実験を行う,としているが上述の通り概ね予定通りの進捗となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度開発したアルゴリズムを用いてデマンドバスモデルを構築し,実データを用いたミクロ交通シミュレータを行う.シミュレータを用いて以下の評価実験を行う. (1)現況の路線バス及びバス利用者を全て新交通システムに置き換えた場合の旅行時間:現況の路線バスと同程度の規模で新交通システムを展開することでコストを固定したままサービスレベルの変化を確認する事ができる. (2)(1)で得られた旅行時間を新交通システムのサービスレベルとして設定し,全ての交通需要に対して交通手段選択を含むシミュレーションを行う. (3)行政からの運賃補助等の何らかインセンティブが適用された場合の交通手段選択の変化を確認
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Causes of Carryover |
理由は以下の2点です. - 人件費を他経費より支出した. - 購入したPCの仕様を変更した
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は,より大規模なシミュレーションを多数実施する必要がありより高性能な計算機が必要となる.前年度からの繰り越しを活用して高性能な計算機を購入する予定である.
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Research Products
(4 results)