2014 Fiscal Year Research-status Report
海洋における粒子態有機物を起源とする微生物炭素ポンプ機能の解明
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26740001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
多田 雄哉 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 研究員 (40582276)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海洋細菌 / 粒子態有機物 / 溶存態有機物 / 微生物炭素ポンプ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、付着性細菌および粒子態有機物から溶出される溶存態有機炭素のみを分離・解析するための半透膜培養法を確立することを目的とした。半透膜培養法に使用する半透膜として、系外からの細菌のコンタミネーションが最も軽減できると考えられた、Spectrumlabs社製のFloat-A-Lyzer(分子量8,000~10,000)を用いて予備実験を行った。予備実験として、1. 半透膜からのDOC溶出量の定量、2. 半透膜からの蛍光溶存態有機物溶出量の定量、3.半透膜の洗浄法の検討、4. 半透膜内からの細菌細胞の透過(コンタミネーション)の有無の検討を行った。洗浄法として、酸洗浄後に超純水に1ヶ月程度浸漬することで、半透膜からのDOC溶出量がほぼゼロになることが明らかとなった。また、洗浄後の半透膜からの蛍光溶存態有機物の溶出量を、三次元励起蛍光スペクトル法によって定量した。その結果、半透膜から、若干のタンパク質様蛍光物質が溶出することが明らかとなった。しかしながら、腐植様物質の溶出は見られないことが明らかとなった。さらに、沿岸海水中の粒子態有機物および付着性細菌を、ガラスファイバーフィルターを用いて捕集し、半透膜内に入れ、培養後、細菌細胞の膜外への透過の有無を、フローサイトメータを用いて確認した。その結果、細菌細胞の膜外への透過は見られなかった。これらの結果から、Float-A-Lyzer半透膜を用いることで、粒子態有機物および付着性細菌から溶出される腐植様有機物の定量が可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
粒子態有機物からの溶存態有機炭素および腐植様物質の定量解析までは実施できなかったが、半透膜培養法の確立に関して、洗浄法や半透膜からの溶存有機炭素、細菌細胞の膜外透過によるコンタミネーションの問題を解決することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、実際の海水から捕集した粒子態有機物を用いて、粒子態有機物および付着性細菌群からの蛍光溶存態有機物(特に腐植様有機物)の溶出量の定量解析を行う。また、半透膜の分子量を変化させることで、粒子態有機物から溶出してくる溶存有機炭素および蛍光溶存有機物の分子量情報も取得する予定である。加えて、これらの溶出に寄与する細菌群集の解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
前年度の3月末に、物品購入および学会参加のための出張旅費の申請を行ったため、差額が生じた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これらの差額に関しては、本年度に処理予定
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Research Products
(2 results)