2014 Fiscal Year Research-status Report
大陸内部における気候変動周期の発見とその変動要因の特定
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26740002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
奈良 郁子 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究支援者 (70414381)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 大陸内部降水量復元 / 太陽活動サイクル / 1000年周期 / 最終氷期最盛期 |
Outline of Annual Research Achievements |
ロシア、バイカル湖にて採取された湖底堆積物試料(VER99G12)の無機金属元素および粒度組成の分析を行った.得られた結果を複数の学会およびシンポジウム(第四紀学会2014年大会、AMSシンポジウム、名古屋大学年代測定総合研究センターシンポジウム)にて発表を行った. 粒度分析、および無機金属元素分析より、約3万年にわたるバイカル湖集水域における降水量変動が詳細に復元された.粒度分析には、レーザ回折式粒子径分布測定装置を、無機金属元素分析には、蛍光X線分析装置を用いて測定を行った.粒度分析結果と無機金属元素分析結果は、互いに非常に良い対応を示しており、両指標から矛盾無く降水量変動を復元することに成功した.とくに最終氷期最盛期において、約1000年スケールでの降水量増減のサイクルが発生していたことが分かった.最終氷期最盛期における大陸内部地域での降水量変動を非常に高い時間解像度(約70年間隔)で復元を行ったのは、本研究が世界で初めてである. より正確な年代軸を用いて議論を進める為に、年代モデルの再構築を行った.既に結果が得られている放射性炭素年代測定結果をもとに、あらたにタイポイントでの年代モデルの作成を行った.これにより、これまで得られている文献値との比較を、より高い精度で行うことが可能となった.太陽活動変化の指標である放射性炭素(14C)変動と粒度分析結果を比較することにより、太陽活動変化が与える大陸内部気候変動への影響を議論することが出来る.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究予定であった粒度分析に加え、無機金属元素分析にも着手することが出来た.分析は当初の計画以上に進んでおり、年代モデルの再構築にも取り組むことが出来た.研究は滞り無く進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
数値計算を精力的に進める.周期解析を行い変動パターンの定量化を行う.また、14C変動との相関を明らかにすることにより、太陽活動が与える大陸内部気候変動への影響をより詳細に理解することが出来る.
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Causes of Carryover |
直接経費に対して約2%の残金が発生したが、ほぼ研究計画通りの支出であった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においても多数の試料に対して化学分析が必要となる為、分析協力者への謝金としての使用を予定している.
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Research Products
(4 results)