2017 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstruction of the hydrological variability in the southern Siberia
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26740002
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奈良 郁子 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 研究機関研究員 (70414381)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 気候変動復元 / 水文環境変動 / 気候変動周期 / 南シベリア地域 / 太陽活動影響 / 最終氷期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ユーラシア大陸南東部、南シベリア地域に位置するバイカル湖(ロシア)の湖底堆積物中の粒度分布、および無機元素比を用いて、過去3万年にわたる南シベリア地域における水文環境変動を復元し、かつそれを引き起こす要因の解明を試みるものである。堆積物中の粒度分布、および無機元素比は、共に非常に良い相関を持ち、これら二つの指標から、堆積当時の河川水量変動を正確に復元することができた。粒度分布、および無機元素比の数値解析結果より、バイカル湖に流入する河川水量変動が、約1000年の周期を持って変動していることが明らかとなった。この周期は太陽活動変動周期と近く、大陸内部地域における水文変動が、太陽活動に影響し変動することを強く示唆する結果を得た。また、水文変動に対応して、バイカル湖の生物生産量が変動していることが明らかになった。生物生産量が低下傾向を示すMIS3後期の寒冷期においても、バイカル湖集水域の環境は周期的に変動し、かつ湖内生物活動がそれに応答していたことがわかった。この結果から、氷期でのバイカル湖の生物活動において、河川流入による栄養塩供給が重要な役割を果たしていることを示唆する。これまで、最終氷期最盛期付近における、南シベリア地域での水文変動復元に関する研究例は少なく、本研究によって、特にMIS3後期におけるバイカル湖集水域における水文変動についての新たな知見が得られた。周期的な水文環境の変化は、シベリアの植物相、動物相を大きく変化させたと考えられる。
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Research Products
(5 results)