2014 Fiscal Year Research-status Report
15N2ガス希釈法による湿地生態系における脱窒速度の評価
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26740004
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
利谷 翔平 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80725606)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脱窒 / 15N2ガス希釈法 / 湿地 / 土壌 / 15Nトレーサー法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、15N2ガス希釈法による脱窒速度測定の実行可能性を評価するための基礎的な検討を行った。活性汚泥を用い、従来より脱窒速度の評価に利用されてきた15Nトレーサー法による脱窒速度と、15N2ガス希釈法による脱窒速度を比較した。15Nトレーサー法を適用した培養瓶は、まず気相をHeで置換した後、脱窒の基質である15NO3-およびメタノールを添加した。一方、15N2ガス希釈法を適用する培養瓶は、気相をHeおよび15N2ガスで置換した後、15Nトレーサー法と同量の14NO3-およびメタノールを添加した。一定時間経過後の培養瓶ガス中の15N存在比を質量分析計により測定し、それぞれの手法による脱窒速度を求めた結果、15N2ガス希釈法により得られた脱窒速度は、15Nトレーサー法の10倍以上だった。これは、試料や活性汚泥分散液にもともと溶存している14N2による汚染が原因と考えられた。そこで、試料・活性汚泥の調製や培養瓶への試料注入など培養前における14N2による汚染を回避する手法を検討し、適用したところ、15N2ガス希釈法により測定した脱窒速度は15Nトレーサー法の約2倍となった。これは、培養期間中における大気の14N2ガスが培養バイアル中に混入したことが影響したと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
14N2による汚染の回避方法が確立していないため、15N2ガス希釈法と15Nトレーサー法との比較が十分にできないため。
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Strategy for Future Research Activity |
15N2ガス希釈法を確立するため、大気中14N2の混入による汚染を最小限にする手法を検討する。15N2混入を最小に抑えた培養手法を確立したのち、再び15N2ガス希釈法と15Nトレーサー法による脱窒速度測定の比較を行う。 また、湿地生態系における脱窒速度は、硝化反応とも関連があるため、今後は15NO3-希釈法を用いた硝化速度の測定方法についても検討し、脱窒速度との関連を明らかにする。
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