2015 Fiscal Year Annual Research Report
中間体ラジカルの反応性評価を含めた空気塊総体としてのオゾン生成能計測手法の開発
Project/Area Number |
26740013
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮崎 洸治 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 特別研究員 (30633581)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 過酸化ラジカル / 中赤外レーザー分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
中赤外レーザー分光計測によるHO2ラジカルの直接観測手法の開発を行った。HO2ラジカルは基本音振動遷移による吸収断面積が大きく、選択性の高い吸収を中赤外領域に持つ。HO2ラジカルの吸収帯は、OH伸縮振動に帰属されるv1バンド(3μm)、変角振動に帰属されるv2バンド(7μm)、OO伸縮振動に帰属されるv3バンド(9μm)が存在する。本研究では、レーザー出力が比較的容易なv1バンドを計測対象として開発を行った。 本試験では、HO2ラジカルの代わりに、CH4を試験ガスとして開発を進めた。CH4ガスの測定波長として3.4 μmの中赤外光は、2台のDFBレーザー(分布帰還型半導体レーザー)を用いて、非線形結晶中における差周波混合法(DFG: Differential Frequency Generation)により出力した。差周波混合法は非線形結晶に2つの異なる周波数のレーザーを入射し、その差分の周波数の光を出力する手法である。本研究では、1064nm光と1550 nm光を用いて3.4 μm光(=1 / (1 / 1064-1 / 1550) nm)を出力した。非線形結晶には周期分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN: Periodically Poled Lithium Niobate)を用いた。Geフィルターにより近赤外光を取り除いた中赤外光は、植物放出ガスを含むヘリオット型マルチパスセルへと導入され、透過光強度を液体窒素冷却した光導電MCT赤外検出器を用いて計測した。これらの計測における波数分解能は10-4 cm-1である。得られたスペクトル計測値をVoigt関数によりフィッティングを行い、メタン濃度検出下限を見積もった。吸光度として4.26×10-5 Hz-1/2の検出限界が得られ、これはメタン濃度検出限界に換算すると0.5 ppb Hz-1/2に相当する。 これらの結果からHO2ラジカルのv1バンドを計測対象とした場合のHO2ラジカル濃度検出限界を見積もったところ20 ppb Hz-1/2の結果が得られた。
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Research Products
(3 results)